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追走

タスマニア南部辺境、造船ドック

そこでは、2隻の軍艦が建造されていた


「でかいですね…………マヤよりも。」


「全長180メートルを越えるって話だからな。」


「すげぇ形してんな…………。」


休憩中の雑談に興じる職員たちが見やるそれは、戦時の重巡洋艦に匹敵する艦体

新型のミサイル巡洋艦として計画されたそれは――――異形

対地砲撃支援のために、地上の砲台やミサイルから隠れるためのステルス形状は縦から見ても横から見ても上に行くにつれ先細りするような、台形型をしている。


ズムウォルト級ミサイル巡洋艦「ズムウォルト」

それがこの船の艦名

旧世界では開発の予算が削られ、量産が不可能になった結果装備品の価格高騰が起り産廃となってしまった悲劇の艦

だが、ここでなら

リアーナによって大量の予算が確保され、まや型の開発で新技術のノウハウを積んだ彼らなら

32隻――――――アメリカ軍が当初打ち立てた数の量産も可能だ。

現実世界では1億円まで高騰した専用砲弾の値段も、大量生産によって500万まで落ち着くと見積もられている。

世界を越えて、先進ガンシステム(AGS)が気炎を吐く時がやって来たのだ。


「でかいって言えばあっちの方がとんでもないですよ。フォードのがでかさで言えば上ですけど……………あっちは戦艦ですよ?」


「“外交面でも威圧効果のある艦の存在はありがたい“とは言うけどな………あれはやりすぎだろ。」


そして、その隣

空母などを建造する超大型艦用のドックではもうひとつの怪物が産声を上げようとしていた。


「この間レヴィアタン級が2隻進水、今でも四番艦五番艦を健造してるってのに、まだこんなデカブツ投入すんのかよ……………。生産力どうなってんだ?資源とか、どっから持ってきてんだっけ?」


見上げるような鐘楼

それは、海の竜神すら食い破る怪物


全長298メートル、全幅46メートルの巨体。

ズムウォルトに搭載させた先進ガンシステムを応用した51センチ三連装砲三基九門

副砲として艦橋前後に220ミリ三連装速射砲二基六門

SM6(スタンダード)及び発展型シースパロー(ESSM)を発射可能な多目的VLSを620セル、加えてSSM3B超音速対鑑ミサイル専用VLSを20セル

個艦防衛用のファランクスCIWSとSeaRAMをそれぞれ五基

最新鋭のガスタービンエンジンにより全面新型複合装甲で覆われた基準排水量10万トンの巨体は35ノットで疾走する。



ヴァルフート級一番艦、「ヴァルフート」、リアーナたちの軍の新しい旗艦である。


「空の方も新しくロイヤルウィングマンシステムとかいうのを開発中らしいし、どこまで行くんでしょうね。」


「そりゃあどこまででもだろ。下手すりゃ世界全てを敵にまわすことも考えられるんだ。新勢力の出現も予測されてるらしいし。」


職員たちの顔には色濃い疲労が浮かんでいた。



―――――――そうして、彼らが着々と新たな戦に向けて準備を進める頃、当のリアーナは


「知らない天井だ…………なんてな。」


手足を失い、なおもなんとか生き延びた彼女は病室のベッドで目を覚ました。

開口一番、掠れた声で軽口を叩く辺りはらしいといえばらしい。


「起きた?寝坊助おねぇ、ちゃん。気分、は?」


「ん、あー、最悪の気分だ。」


水のはいったペットボトルを渡しながら問いかけるマリア。

リアーナはそれに対してちらりと自身の右半身に目をやって苦笑いする

きれいに縫合された傷口から先には、右腕がついていなかった。


「んぐっ、ん。

ぷはっ……………こいつは完全に鳥は止まり木に帰る(自業自得)ってやつだけどな。

アルトリアとブリタニアはどうなった?」


「王城は石材に、アルトリアは逃亡。代わりに生き残ってた宰相が例の条約に調印したって状況だ。邪魔するぜ、お嬢。」


果実の入った篭を持ったセルゲイが入室し、つらつらと述べる。


「心配かけやがって、一発殴らせろ。」


「右腕取れてる重傷患者相手になにいってんのおっさん?…………顔な、腹は今やられると傷口ひらいちまう。」


そんな軽口を叩くリアーナに対して、ひらひらと手を振って受け流して話を続ける。


「で、お嬢。こっからどうやってブリタニア………いや、アルトリアを追い詰める気だ?」


ニヤリと笑いながら、そんな問いに返す

ハラはとうに決まっている、この世界に来たとき、自分が誰かを思い出した時から、ずっと。


「そらもうファック一択(正面突破)。あのスカした面にバンカーバスター叩き込んでやるよ。

―――――――の、前に、マリア。」


「ん」


繋げるな?(・・・・・)


「ん、もち、ろん。」


つぅと言えばかぁ。以心伝心とばかりに最低限の言葉だけで確認を取り、マリアが手早く操作した通信端末に耳をつける。


その

相手は


「やぁ、久しぶり。――――――――アルトリア陛下」









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