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The weak

レヴィアタンから発艦したヘリ、その機内は戦慄に支配されていた。

搭乗するのはタスマニアの近衛団長をはじめとするタスマニア、イタリカ両国の軍人、騎士十余名

地上での騎兵突撃とごくごく原始的なカノン砲を主戦術とする彼らからすれば、リアーナの見せた艦砲射撃の威力はまさしく異次元の代物。

ひととき押し黙ってしまうのも無理もない話だ。


「見たかね…………?」


「当然。しかし、いち令嬢が振るって良い武力かこれが………。」


「イタリカの北部公爵とタスマニア王家はすでにこれ(・・)と同盟を結んでいるらしいぞ。」


ヒソヒソと話し合う彼らを尻目に、ヘリのパイロットは胸騒ぎを感じていた。


(妙に胸がざわつく…………なんだ?これ。)


それは、ほんの少しの違和感。

先ほどの戦闘で蹴散らした敵部隊は軍の教練で見た“ドレッドノート級“を主軸にしていた。

この世界ではそれだけで他国を蹴散らせる戦力だ。

だが、それにしては、彼らは、彼らの艦隊運動は


(あまりに、整いすぎて………いた。)


みごとな連携、部隊を切り離しての陽動、突入

高性能無線機とそれを使うノウハウが無ければ不可能な芸当、息をするようにそんな戦術を繰り出すような真似…………それは、リアーナ曰く弱者の戦法(・・・・・)だ。

()押しで敵を()倒できるよ()な軍隊で、そんなものが育つのか―――――――?


(とはいえ、なにかの確証があるわけではないが。)


と、そこまで思考した時点で彼は現実に引き戻される。

母艦からの通信

作戦指示だ。


「こちらシーホーク1、どうした。」


彼は自身のコールサインと共にそれを受けとる、

聞こえてきたのは、懸念通り(・・・・)の命令。



「レヴィアタンからシーホーク1、(哨戒ヘリ)敵潜水艦(・・・・)をバウ・ソナーで探知した。対潜戦闘用意。」


潜水艦――――本当にドレッドノートが主力なら、あり得ない艦種

弩級艦の居た第一次大戦前には存在しない艦種―――――。


「これは―――――。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「戦艦部隊は囮、だな」


ふと、俺はそんなことを呟く。


「古めかしい旧式兵器を陽動とし、新式の兵器を隠蔽しつつ本命の攻撃手段に回す。よく練られている―――――――格上への戦法だ。」


ニヤリと笑いながら艦載ヘリへと搭乗、手早くHK418のチェックを終える。

奴さん、格上を想定した作戦を繰り出してきやがった

ってことはおそらくこちらの兵装などもある程度わかってやがる。それは逆に言えば


「こっち、を、理解できる、ほど、近しい(・・・)、と、いうこと。」


ポツリ、と通信機からマリアの考察が漏れ出て、俺はそれに頷く。そう、あまりに隔絶した技術は理解不能なのだ。ならば、相手がこちら格上と理解できるということは、被我にそこまで差が無いということを示す

潜水艦を出してきたことから考えてもそうだが……………少なくとも、ww2以降の技術力は有していると見ていいだろう。


「あぁ、そうだ。やつらと俺らにはさほどの差など無い。やつらは俺らを正しく認識している。

だが、それがおまえらの命取りになる。格上と理解できるからこそ、俺たちが“弱者の戦法“を取るとは理解できない。さしずめ―――――――。」


ヘリが、離陸する。

体には独特の浮遊感、隣には完全装備のオルトロス一個分隊。

王城強襲のために(・・・・・・・・)厳選された戦力(・・・・・・・)を乗せて、一路ブリタニア本土へと


「こそこそと隠れつつ少数精鋭で大将首を狙う。古来より兵力に劣る側がやってきたことを、俺たちからやると―――――予想できるかな?」


それは、一般には寡兵の突破口

現代においては超大国ですら使う作戦なれど、この時代の人間にとっては格下の戦法とされる、それ


斬首作戦が

始まる。












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