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再会の前

特筆すべきこともなく、俺は襲ってきた剣士どもを返り討ちにした。

アイソセレーススタンス――――少し前傾姿勢になり両腕を突出し両手でしっかりと拳銃をグリップする構えで、四発PPKを撃って全員射殺、それだけだ。

時間で言ったら、最初の一人をなにもさせずに撃ち倒してから最後のやつを殺すまで二秒もなかったろうよ。

あぁ、ちなみにこの構えは左右への対応能力が高く、軍や射撃競技でよく使われる。だからこそ横並びの“的“をこんだけ短時間で全滅させれたってのもあるかも知らん。


さて、そんなこんなで襲いかかってきたやつらの死体を調べていると興味深いことがわかった。


レイピアはそこそこの性能のもので、全員が同じ規格で統一されたように似かよったシンプルなものを持っていた。まぁ、剣は一つひとつ手作りで、少しずつ個体差があるのでそこを差し引いてのことではあるが。

また、こいつらがこちらを攻撃しようとする瞬間、その“起り“も、かなり共通点が多かった。


規格化された装備と、動き。


つまり、こいつらはどこぞの正規軍だ。軍隊ってのは、規格化された個をまとめた集の暴力装置。軍隊の強みと言うのはこいつらのような同じ装備と同じ動き、そこから生まれる統制によるものだ。

これがチンピラや傭兵であればもっと不揃いな装備だったろうよ。


「こりゃ個人レベルの問題じゃないねぇ。

ウチの国と仲が悪い隣国か、はたまた別の国か。面白くなってきたね。」


そういえば、タスマニアンラプソディーでは、主人公が従軍するイベントがあったな。相手はどこの国か忘れたが。

とはいえ、本物の戦場に比べればずいぶん描写がぬるかったが。ま、所詮乙女ゲーだしな、そんなとこにはこだわらんだろう。


あ、最初に俺に声をかけた青年だが、一人でプラプラする幼女、つまり俺のことが心配になり、かといって声をかけても怖がらせるかもしれないと思って見ていたら人気の少ないところに入っていったのでさすがに見かねて止めたらしい。

ごめんよ、誘拐犯とかと勘違いして。


さて、死体の調査も終えて、今俺は屋敷に帰ってきている。

この国ではデビュタント(社交界デビュー)は10歳。俺はまだ8歳だが、今のうちから様々な技能を習得しておかねばならない。


とはいえ、俺とて一応伝説に片足を突っ込んだ軍人。要人警護などでVIPの対応を任されることもあり古今のマナーを完璧にこなせるようにしていた。

王国式のマナーはそれを応用すれば大体できるので、問題ない。

しかもブルーベレーに入る前は、かなりヤベー仕事もこなす部隊に所属していたので、ちょっと言えないお仕事(暗殺)のため、ターゲットに自然に近づくための技能はひととおり修めている。中でも得意だったのが、ダンスだ。

ダンスは相手が女性の場合でも怪しまれずに密着してなおかつこちらが相手の体をコントロールできるため、最中にも殺れるし相手の信頼を得たり心理的距離を縮めて殺りやすい状況を作るのに都合が良かった。つまり、まぁ、令嬢として必要な技能は大半、すでにこなせる。


だからさぁ、今日はダンスのお稽古だったが、先生からは早々にOKをもらって今は特にすることもねーんだよな。


暇ができたしウキウキした気分でHK417を自室のガンラック(銃を収める棚)から取りだす。

さて、分解清掃でもするかね。

十秒とかからずにHKをバラバラにして銃身とフレーム、ストック、その他細々とした部品を机に並べる。

そこからひとつひとつ部品を手にとってはキュッキュッと布で磨く。

グリースを丁寧に塗って、スムーズに動作するようにする。


あー、至福。銃いじってるときが一番落ち着くわ。


そんなふうに中ばイってると、俺の従者のアレンがノックしてから部屋に入ってきた。


「お嬢様、旦那様がお呼びでございます。」


ふむ?父さんからの呼び出し?珍しいなおい。

いったい何事かと思いながらアレンについていくと、そこには父さん、母さん、そして



――――――――――天使が居た。


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