兵士の怒り
ピリッ
と緊張が走る。
おいおい、アンのやつ短気すぎるだろ
まぁ戦士として………兵士として、パンピーと間違われたのがイラつくのはわからんでもないが……………
「あー、あー、あー、一旦双方落ち着け。アンも、矛を納めろ。」
俺は気まずい空気に耐えきれず思わず仲裁に入る。やべ、猫被るの忘れてる
「承知いたしました。マジェスティ」
アンがスッと殺気を消してカーテシーをしてくるうん、うちのメイドは素直。
まぁだからこそアンのこういうとこが狂信者じみてて背筋冷えるんだけど……………。
「すまんね、騎士諸君。うちのが粗相をした。」
俺は自分のメイドの手を引き苦笑いと共にその場からフェードアウトした、こんなピリピリした場に居たら胃に穴あくっつうの………。戦場とはまた別のストレスなんだよ人間関係は…………。
「特殊任務の教育ばっかやってマナーもなにも教えなかった弊害かなぁ…………。いや、俺と会ったときにはもう大分成人に近かったって。」
ぶつくさぼやいて待機位置に向かう、俺並みの短気って社会性に問題あるだろ………アン。ちょっとは自重してくれ。
……………と、そんなこんなで席に戻った俺たちは湯気のたつ袋からレトルトパウチを取り出す
アメリカ軍でいうMRE、自衛隊でいうパック飯
つまりはレーションだ。
長期保存が可能なようにパウチされ、石灰によって水を注ぐことで発熱する加熱材と共に袋にぶちこんで数分で調理が完了する
メニューはミートボールにスナックブレッド、そしてジャーマンポテト
最近できた新メニューで試食を頼まれてたんだが、これがなかなかうまい。
「むぐむぐ…………俺らの出番はラスト辺りか。」
ハーブを効かせたミートボールをプラスチックフォークで口に運びながらアンに話しかける。
「はい、それと、沿岸警備隊から観艦式では海軍の空母打撃郡だけでなく警備隊のLCS………沿海域戦闘艦を最初に挟むことを具申されております。」
ん………、まぁそーゆー趣向もよかろう。
最初にLCSで軽く驚かせてそっからレヴィアタンとかで追い討ちをかけるのね。
と
「あれ?リアーナ?」
凜、と
愛らしい声がかかる
「アリス。」
ピンクブロンドの髪にふわふわとしたルックス
腰には2本のククリ。
イタリカで出会った傭兵、アリスだ。
「来てたんだね。演習参加者でしょ、なに出すの?」
「色々だ、色々。なんならお前もうちの演技に参加するか?」
軽い気持ちで誘ってみる
と
「いいね。相手してよ、リアーナ。前から君と戦ってみたかったんだ。」
にこりと笑いながらそんな言葉が返ってきやがった
ハハッ
最高か……………?
「オフコースだ、アリス。ダンスのお相手はきっちり勤めさせてもらうぜ。」
うん……………楽しみが増えたな。