騎士とメイド
さぁてと、騎士団と会う前に装備確認だ。
「オルトロスはP90にファイブセブン、お前はP90の代わりにうちで開発したスカーM、俺はHK418にM45だな。」
アンの持つスカーMや俺のHK418はこれまで使っていたスカーHやHK417の7.62㎜NATOから6.8㎜SPCと呼ばれる弾を使えるように改造したものだ。
現代地球で使用されている5.56より大口径で初速と口径のバランスも良く、本来はこれまで使っていた7.62に威力では劣るが俺たちの弾はスチールコアだ、内部構造の改良で威力そのままに携行弾数、反動は比べ物にならないほど軽減される。
しかもスカーHは20発弾倉だったがこいつは25発とかがディフォルト
うちの軍ではすこし増やして30発を基本にしているのだ。
「この銃………スカーM、ゴキゲンです、最高ですよ控えめに言って。」
とまぁこのよーにアンもついつい口調が崩れるほどの銃だ。
「5.56でもスチールコアにして光学機器組み合わせれば対人で距離300メートル程度には十分だが、こっちだと表皮の固くて生命力強いオークとか相手にしなきゃだからな。
それに現代軍隊よろしく敵がボディアーマーつけてたりいきなり砂漠に放り込まれることになっても大丈夫なように………………数百メートルの交戦距離の敵に対応できるように大口径弾と光学機器の組み合わせは取っときたい。かといって今までのは反動でかくてフルオートしにくかったし、妥当な線だろ。」
弾の更新はアメリカ軍でもたびたび先送りにするほどめんどい問題。
それまでのさんざ作った弾を廃棄しなきゃだからな、だからあっちでは口径そのままにスコープの支給で弾の精度を補ったりスチールコアにすることで威力を増したりしていたのだが、なんせ俺らはすでに7.62のスチールコアなんつーバケモノを使っていた。
今さら5.56㎜ではたとえスチールコアにしても頼りないことこの上ないだろう。
うちの軍ではこれまでの7.62㎜はマークスマンライフルやヘリに設置するマシンガン、戦車の同軸機銃なんかにまわして歩兵にはこの6.8㎜を使わせることにしてこれらの問題をパスしたがね。
「おぅ、見えてきたな。あれがタスマニア南部辺境騎士団か。」
と、そんなことを考えているとわが家の騎士たちが見えてきた。
「ちょうどこちらも合流できましたね」
それとほぼ同時に、アンが言った通りオルトロスのやつらも到着する。
彼女たちの装備はP90とファイブセブン
P90は先述のとおりのものだが、ファイブセブンはそれとセットとなるハンドガンだ。
P90と同じ5.7㎜弾を使用し、弾薬を共用できる。
まぁ、ライフルみてーな細長い弾を使うせいでグリップが太めになってて、少し握りにくいのが難点だけど、装弾数が20とハンドガンにしては多目だし、かなりいい銃である。
オルトロスとアンはアラクネー製の防刃、防弾仕様ワンピースドレス、そして通信用ヘッドセットに咽頭マイク、各種ポーチを取り付けたアラクネーのボディアーマーを着込みゴリゴリの臨戦態勢と言っていい。
接触までー
3、2、1
「こんばんは、騎士さんたち。」
にっこり、と
笑顔でご挨拶、だ。
「は、ご機嫌麗しゅう、お嬢様。」
こちらを認識した騎士の一人が騎士の礼で出迎えてくれる。
「後ろのご婦人方は侍女でございますか?ご観覧に来られていたのですね。我々の演武をどうぞお楽しみください」
観覧………?なにを言ってるんだこいつは。
「俺たちは―――――
「私たちも演習の参加者です。そちらこそ我々の演技を楽しみにしていてください、騎士などでは到底到達できない極致を見せて差し上げます」」
おぅ、アンがお怒りだ。主の言葉を遮るほどに
騎士程度に自分や、なにより俺が嘗められた――――――観客扱いされたことが逆鱗に触れたらしいな。
しかし
どうするべ、この空気。