拗らせボーイとジゴロガール
「演習まであと一週間だぜー、たのしみだなー。」
「左様でございますね。マジェスティ」
俺とアンは今、屋敷のリビングのソファにもたれてくつろいでいる
季節は夏、気温が高くかなり暑い。
そんなわけで俺はうちで支給しているスポーツブラに迷彩のズボン、特別に作らせたメッシュのスニーカー。
アンはワイシャツの前を胸元まで開け、下はこれまた俺たちのとこで作ったアラクネーのデニム風素材のダメージジーンズだ。
アンは普段は黒の厚手ワンピースドレスなのでかなりラフな格好になっていて明らかに涼しそうである。
あぁ、一応二人とも太股にホルスターに納められたハンドガン、手には防刃グローブを突けているので常在戦場はしっかりしているぞ、エヘン。
「…………あちぃ。全裸になって良い?」
「タスマニア南部でここまで気温が高いのは珍しいですね………水風呂でもご用意するのでやめてください。」
俺の発言に即座に突っ込みが来る、水風呂か、いいな。
あー、ちなみに今の気温は大体35度くらい。
夏の平均気温が25度前後のこの地方ではかなり珍しい、なんなんだいったい。
と、そんな風にうだうだしていると
「ちょっ!!!お嬢様!なんてかっこうしてるんですか!!」
突如聞こえてきた中性的なアルトボイス
男にしては高い声の主は
「……………誰?」
「アレンですよ!覚えてないんですか?お嬢様。」
え?
あー、うん、アレンねはいはい。
従者の男の子か。
最近絡み無いから忘れてたぞ
「と、とにかく!早く服を着てくださいお嬢様、アンさん。はした無さすぎます!」
アレンは俺たちにそんなことをのたまってきた
えぇ………暑いんだけど
つーか
「いや、やだよアホゥ。お前が童貞拗らせて女に耐性無いからってなんで俺やアンがクソあちー思いしなきゃならないんだ、お前の拗らせの責任くらいテメーで取れや。とりあえずヌイてそのゆだった頭クールダウンしてこい。」
なぜにそんなことを言われにゃならんと。
価値観中世かよ、あぁ中世だったなクソが。
「どっ………しっ、しかし、そんな格好をして襲われでもしたら――――――――」
ズバンッ
と
なおも食い下がろうとするアレンの足元に向けてホルスターから抜いたM45を発砲する。
「そんときゃそいつが死ぬだけだ。性欲くらいしっかり処理しとかなかったそいつが悪い。なんなら諸々紹介するくらいはしてやるぞ?」
俺や、アンを、襲う?
ははっ、上等
無謀にも“鬼神“に欲情した男の末路なんざ決まってる、キッチリと反撃させてもらいますよ。
まぁ、礼を尽くして頼み込んでくるってんならならちゃんと娼館なりなんなり紹介してあげますがね。
「わるいが俺とヤりたきゃ性別女に変えてやり直してこいっ、て――――――――アレン」
「へ?」
ふと、アレンの顔を見て気づく
俺は顔をひきつらせて返答する彼に…………
「アレンお前…………可愛い顔してるな?ちょっとケツ貸せよ。」
うん、好みだ。大きな目に小りな鼻と口、女の子にしか見えん。
秒でロックオンした
いや、というのもですね、前世で妹に見せられたジャパニーズアニメのせいで男の娘もいけるようになってしまったんですよ。
「………………マジェスティ、さすがにそれは…………。」
「お嬢様…………………。」
おぅ、ドン引きですねおふたりさん。
ん?殺気――――――――
「おねぇ………ちゃん………?」
マリア、降臨
やべぇ妹の背中にデビルの背後霊が見える。
「浮気、は、め…………。おし、おき。」
「ちょっ、マリア、まっ」
襟をひっつかまれて寝室に引きずられていく俺
くそぅ、やっぱマリアには敵わねぇ…………。
「マジェスティ、頑張ってくださいね。」
いや、アン。ナニをがんばれって?
……………ナニですね、はい。
まぁ、ぶっちゃけ嫌じゃないから抵抗しないんだけどなぁ……………。