敵兵排除、そして侵入
カシュカシュカシュッ、と、間の抜けた音が連続する。
サプレッサーを付けたHKの銃声―――――放ったのは、リアーナ
オプスコアヘルメットに追加されたHMDのバイザー型ディスプレイ越しにサーモによって白く表示された門兵が崩れ落ちるのが見える。うまく中てれたらしい
現在時刻はちょうど深夜の2時。
帝都を囲む石作りの壁、そこに備えられた門の見える位置に伏せながら俺はHK417のホロサイトを覗いていた
後ろにはここまでついてきてくれたAGCのオペレーターたちが姿勢を低くして控えていて、素晴らしく頼もしい
今俺らが居る門の外側は草原を挟んで、少し離れたところに森が広がっている。
あの森がさっきまで俺らが待機していたところだな、今はもう草原に出て草の中に隠れているが。
「昼は活気に溢れていた街だが、さすがにこの時間になると皆寝静まってる………か。」
俺が門番を排除して、部隊は門へと近づいていく
ファンタジーなどではよく昼間などは門を開きっぱなしにして商人や町人などがひっきりなしに行き交いしているが、ここは現実。
獣や傭兵崩れの盗賊がちょくちょく出るし、ましてやこの世界にはモンスターも居るのだ。
そんなやつらから自身を守ってくれる壁を出てナイトメアモードの旅をするような酔狂なやつはそうそういない。精々腕のたつ護衛を大量につけれる貴族や大商人が必要に駈られて旅するくらいだ。
で、だ。
門にはデカイ馬車などが通るためのデカイ扉と、人が通るための小さい扉が並んでいる。
俺は隊員たちと共に小さい方の扉に取り付く。
「案の定……………閂で鍵がしてある、か。」
俺はそれを認識するとおもむろにハンドガンを撃った
サプレッサーはつけてないから結構な音量で銃声が響く。
「壁上の兵士の様子はどうだ?」
隊員たちに振り向いて確認
「気づかれました、二人こちらに来ます。」
OK。上出来だ
扉の前の門番は殺したが、街壁の上にも帝国兵は居る
そいつらが音を聞き付けてこちらに向かっているようだ。
それを確認したうちの隊員から二人、ナイフを抜いてドアの横に潜む
そして――――――
「ぐぶっ」
「がひゅっ」
確認のために上から降りてきた帝国兵二人、
扉から出てきたそいつらの喉を即座にかっ切った
「よし、これで鍵は開いた。中に入るぞ。」
そして、俺たちはとうとう帝国の中枢都市への侵入を果たした。
「帝城はここからでも見えるな、迷わなくて済みそうだ。」
自分でいっといてなんだがくだらねぇ軽口、でも自分や部下を緊張させないくらいの効果はある。
HKを構えて、銃口を左右に向けつつまっすぐ、城まで進む。
城壁近くまで行ったらライフルに取り付けたレーザー照射装置によって城をポイント、指示をだしてそこに爆撃を行う手筈だ
「前方200、巡回の兵士です」
後続の隊員からの報告――――――と、サーモに白い影が写る。
距離は200メートル、数三人………………。
ライフルの上部に取り付けた、マグニファイアと呼ばれるホロサイトなどの照準装置の倍率を上げる光学器機を起動、等倍で見えていた白い影が三倍に拡大される。これなら――――外さない
即座にホロサイトのレティクルをそいつらのうちの一人に合わせ、トリガーを引く
反動を押さえ込みながら照準を横に滑らせ、二発目、三発目と続けて撃つ
「エネミーダウン、クリア。」
排除完了、俺らに気づく間も無く帝国兵どもはこの世から退場だ。
倒した帝国兵はそのままに、死体を隠すより急いで目的を達成してしまおう。
そして、パトロールをやり過ごし、時には殺し、しばらく歩いていると
「目標地点まで到達、帝城へのレーザー照射を開始する。」
帝国の城を、補足した。
部下たちにそれを知らせ、爆弾誘導用のレーザーをオンにして
城壁越しに見えている城の上部に向けて照射。
そして
「target point do it」
「copy GBU's away」
すでに上空で待機していたF15e―――――帝城を粉々の石材にできる爆弾、ペイヴウェイⅢを満載した戦闘爆撃機に合図を出して
数瞬
城が爆ぜた
ごうごうと石材が燃え落ちる音に続けて、うちの陸上部隊から前線突破の報告が上がる
デポを構築しながらでも、現代軍隊の進軍速度なら夜明けにでも帝都を戦車や自走砲が包囲することになる。
それで降伏するなら良し、抗戦を選ぶなら……………帝都は地図から消えてもらおう。