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対価

そうして太陽が西に傾き、空が茜と藍色に混じり合ったころ

リアーナの私兵たちは野営のために村と森の間に設営したテントに向かっていた。

村人たちは是非とも泊まっていけと申し出てくれたが、銃器などの安全管理の面を鑑みて辞退したのだ。


「あっ…………待ってください。」


と、そんな彼らの背に声がかかる。

振り向くと顔にソバカスが目立つ、おとなしそうな少年が花冠を持って立っていた。

15、6歳くらいだろうか。隊員たちは彼を訝しげに眺める


「なにも………できないけど………こんなのじゃ、足りないけど、これ……………。」


苦しそうに、目に涙を浮かべて花冠を差し出してくる。


「…………ありがとう。対価は受け取った、あとは我々に任せてくれ。」


小佐が代表してそれを受取り、自身の胸ほどの位置にある彼の頭を撫でる。


「っつ……………もし、彼らに食べ物を渡せなくなったら、おねぇちゃんが……………。」


その言葉を聞いて、部隊全員が事情を察する

彼の家族が帝国兵に目をつけられているのだ、と。


「お願い…………します…………。」


ボロボロと涙をこぼす、まだ子供と言っていい年頃の少年は、今までそんな重荷を背負っていたのだ、と。

彼は食料不足のせいか今にも壊れてしまいそうなほどに細く、小さく、儚く、


――――――兵士たちはこの村がこれ以上追い詰められる前に来れたことで、初めて神に感謝した。







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