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閑話

「一芸に秀でるものは道に通ず。」


戦場へと向かう車内、先程の戦闘を見ていてふと思ったことを口に出す。運転しながらぽそりと呟いたそれにアンや同行する兵士たちが首をかしげる。

アディやマリア、ルーなんかは留守番だ。


「極東の国の名言なんだが、何かひとつのことを極めた人間はその極めるまでの過程や技術を習得するまでのノウハウがあるから他のことを極めやすい、ってやつ。逆に言えばその複数の能力がそれぞれ共通項が多いほどマルチにやり易いんだが―――」


わかりやすいのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ。

画家として有名だが、物理や数学などあらゆることを修めた――――天才

それでも、稀代の天才である彼でも根底に学問、設計、数学的思考と言う共通した要素がある範囲での複数能力だってのに

オヤジの場合は鍛冶と航空機操縦という全くといっていいほどに共通項がない二つのことを高いレベルでやっているのでなんとも言えねぇんだよな。


「まぁ、あれだ。努力の仕方や応用力、ひとつ極めればそういった能力の基幹部分が出来上がる。俺だってそうだ。」



戦闘の体捌きはダンスのとき体を思い通りに動かすことに役立ち、戦略や戦術を即座に立てる頭の回転は政治や各種教養の習得に。

まぁ、これできてる人間は早々いねぇけどな。


「オヤジの場合も、戦闘機操縦は体力仕事だ、鍛冶で鍛えた筋肉や持久力は役に立つ。とはいえ、それ以外の空間認知や、Gに絶える力なんてのは鍛冶とは別個の能力だ、共通項が少なすぎるんだよな。」


これまで突っ込んでこなかったが……………オヤジはなぜあそこまで即座に戦闘機に乗れるようになった?


「……………スルーしなければいけないものかと思っておりました。」


スカーHを持ってボディアーマーを着たアンが微妙な顔をする。

な、なぜ…………。


「あー、で、だ。あまりにも鍛冶から戦闘機乗りとか共通項が無さすぎるし、それでさいしょっからあそこまでうまく飛べるとも思えねぇ。

んで、オヤジ、たぶん鍛冶師の前になんかやってたんじゃないかと思うんだよ。」


それは、そう、たとえば、戦闘機のように“飛行能力のあるものに騎乗して“、“空を飛んで戦う“職―――――――


「……………ま、だからどうということもないし、何かするつもりもないけどな。」


ふっ、と肩の力を抜いて微笑む。

あっちから言ってこない限りあんまり喧伝するのも野暮だろう。

兵士たちは気にした様子だったがそれを無視して、俺は車を走らせた。




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