開戦
俺たちは車を走らせ、輸送機に乗りアディの領地に帰ってきていた。
さて、ここからやるべきことはいくつかある
まず、スタンピードを起こすのに参加した帝国竜騎士かそれに近しいものを生け捕りにして確保。
戦後帝国側から攻めてきたという証人にする。
これは帝国に忠誠を誓うようなヤツを捕らえても手間がかかる、帝国のやり方に疑念を持っているやつがいい。
オルトロスの中には帝国内部に潜り込んでいる者も居るので、そいつに選定と確保を任せよう。
そして、イタリカ側との交渉もある。
今回の戦場はイタリカ王国になる。
スタンピートの鎮圧とイタリカ貴族との戦争、二つの戦を起こそうと言うのに当事国である王国が黙っている訳もない。
「イタリカ国王は議会を召集しマジェスティの扱いを協議している模様です。」
「開戦したらどうなるかね。逐一情報把握しないとな。」
イタリカ全体と敵対関係になるのはまずい。
アディに迷惑がかかる。
「交渉、は、まかせ、て。」
と、マリアから頼もしい言葉がかけられる。
うーん、マリアなら頭脳労働に関しては信頼できるから否やは無い、か。
「了解、そんじゃあイタリカへの対応はマリアに任せる。必要なものとかあるか?」
そんな風に聞くと、頼もしい妹さまはイタリカ王都までの足さえあればあとは自分で用意できると言ってきたので、UH60ヘリを回してやってあとは任せることにした。
「よし、これであとは戦争するだけだな。」
うきうきした気分で、思わず声が弾む。
こっちでは帝国が寄越したワイバーンと辺境領主との二正面作戦
帝国国境ではあちらの防衛部隊への攻撃、国内への浸透作戦。
これを同時進行する。
ワイバーンへの対処としては戦闘機部隊と対空兵器の二段構えで
辺境領主と帝国軍には正道のエアランドバトル――――――空と地上部隊の統合運用でケリをつけてやる。
「全軍に告ぐ、これより帝国軍、ワイバーン、ならびにイタリカ辺境伯軍との戦闘を開始する。
それぞれの戦場にもっとも近い基地から部隊を召集しろ。やり方は訓練通りだ。まぁ、ないと思うがピンチになったら報告な」
通信をオープン回線にして、すべての兵士へ開戦を通達
こういうときつくづく思うが、俺は指揮官に向いてない。
指揮官は後ろから指示を飛ばすのが仕事なのに、俺は
「俺は、最前線だ。辺境の騎士どもを歓迎してやろう。」
どうしても、前線を求めてしまうから。