帝国への監視
同時刻、タスマニア王国東側国境―――――ローゼア帝国との国境。
そこではリアーナの軍のAGCと陸軍特殊部隊郡の合同部隊が国境を監視していた。
「続々と集結していますね」
「あぁ」
その中のうちのひとつの小隊。
特に前線で帝国を監視する部隊の隊長と隊員がUAVのカメラ画像を表示する端末を見ながら会話を交わす。
彼らは顔を緑と黒の斑で塗り、カモフラージュ用のギリースーツを着込み国境近くの森に潜んでいた。
隊員たちが草むらの中に溶け込んで話すのは帝国軍の様子について、
現在、帝国は国境に軍を集めて防備を拡大していた。
「なにか、もう一押しきっかけがあれば………………。」
現在リアーナが立てている作戦では防備を固める帝国に対して
「侵略の意思があるがゆえの国境への増援である」
と言い掛かりに近い大義を得た上で攻め混むことになっている。とはいえ、これだけでは無理があるというのも事実。
この上で明確な敵対行為があればこのいちゃもんにも説得力が出るため、リアーナ達としてもあちらから更なるアクションが起こることを望んでいた。
それはここで監視をしている兵士達にも通達されていた。
「!……………隊長。通信が……………」
と、そんなとき彼らの元に通信が入る。
「CPよりアルファ5、こちらの偵察機が帝国による破壊工作を確認。繰り返す、こちらの偵察機が帝国によるイタリカへの破壊工作を確認。」
それは、アルファ5のコードを振られた彼らが今回指揮下に入った前哨基地からの通達。
帝国がやらかして
大義名分が揃ったと言う報告。
「アルファ5、copy。帝国軍は国境にて順調に戦力を集結中。」
「CPcopy、帝国への宣戦布告の後、先制攻撃として帝国軍へ爆撃を行う。アルファ5はそのさいの誘導と爆撃効果判定を行え。」
爆撃のさい、航空機から放たれた爆弾はレーザーによって誘導される。
これは発射した機体から行われる場合もあれば地上の部隊からレーザーを照射することもある。
今回は地上で帝国を監視していた特殊部隊によりレーザー誘導がなされるようだ。
また、彼らは爆撃後の着弾地点の観測も命じられた。
「アルファ5copy、アウト。」
命じられたことを受領して、その時を待つ。
訓練された精鋭たちは、帝国に悟られぬよう森へと溶けていった。