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Dea Ex Machina ~~悪役令嬢戦略譚~~  作者: 中腸腺
イタリカ王国での人道支援任務
104/167

侵入作戦

さて、ここで視点は切り替わる。


そこは、ローゼア帝国皇帝直属部隊の拠点のひとつ。

建物は質素な木製の小屋

その近くの茂みにはそれを監視する影が有った。


「状況開始まであと1分。」


「copy」


極小の声で会話をする彼らはリアーナの擁する陸軍の特殊部隊

通称AGC。


潜入や工作、そして敵の隠密作戦や侵入作戦、破壊作戦に対処するための部隊である。彼らは今リアーナが人道支援に赴く前に発令した任務を行うために目標を補足できる位置で息を潜めていた。



「3、2、1――――状況開始」


合図と共にショットガンを持った隊員の手から一つの投擲物が小屋まで放たれる。


それは窓を割り部屋の中へ落ち閃光と大音響を撒き散らす――――まともに浴びたらまず視覚も聴覚も吹き飛ぶほどの光と音を。


この投擲物の名はスタングレネード、敵の対処能力を無に期すのに最適な非殺傷兵器である。



さすがに手練れの帝国工作員は自らの位置を気取られてはならないと声を発しないが無駄な努力でしかない

AGCのオペレーターたちはHMDに表示される動体レーダーの反応により彼らの居場所を完璧に把握していた。

壁は木製、彼らの装備するHK417a2およびG28ならば部屋に突入せずとも壁越しに貫通させてターゲットを射殺できる。


隊長のハンドサインと同時、サプレッサーによって音を最低限まで絞られたアサルトライフルが一斉に火を吹いた。

動くものは全て殺す。

幸い中には一般人などいないのだ、遠慮なく殲滅させてもらう。



そうして五秒ほど斉射して、軽減されてなおかしましい銃声が止むと、HMDには何の反応も示されなくなっていた。


隊長が小屋に向かって指を指し、手を顔の横で前へと降る。


突入の合図だ。


念には念を、ほぼ確実に屋外からの射撃で殲滅できているとはいえ実際に自分達の目で中を確認するためである。



今回出撃している部隊の編成は

ベネリM4ショットガンとスタングレネードを装備したポイントマンが一人、

HK417の銃身を12インチ(30.5㎝)に縮小、ストックを軽量タイプにして操作系を左右両用にしたHK417a2装備のライフルマンが二人、

プレーンのHKの精度を徹底的に高め、セミオートのみにしたG28マークスマンライフルを持つマークスマン一人。

そしてHK417a2を装備した隊長が一人というものだ。

ポイントマンはショットガンを使ってドアをこじ開け部隊の進路を確保したり、敵との不意の遭遇に対処するために先陣を切るのが役割で、ライフルマンはそれに続いて作戦遂行のために敵を排除したり後方を警戒したりと広範囲な戦闘行動を行う。

隊長は、まぁわかりきったことを説明しなくてもよいだろう。


この部隊もそれぞれ役目を果たすべく行動する。

マークスマンはその場を動かず外で伏せて狙撃体勢に。

ショットガンを装備した隊員がドア横の壁に体をつけてドアの蝶番をベネリで撃ち抜き素早く開け放つ。

すぐさまライフル装備の三人が銃口を室内各所に向けつつ部屋の中に淀みなく侵入しその隅へと移動する。最後の隊員はポイントマンの肩を叩いて皆が入ったことを知らせ、ポイントマンも室内へするりと入り込んだ。

侵入後ライフルは部屋中央へと向けて

これでこの部屋は制圧となる。


「エリアクリア」


「クリア」


口々に小声で報告を飛ばして室内に生きた敵は居ないことを部隊内で周知する。

小屋はこの一部屋に寝室や台所を纏めた間取りになっているため、すでに小屋内には誰もいない。

それを確認したオペレーターたちは目的のものを探し始めた。


「発見。回収完了。」


オペレーターが見つけてバックパックにしまったもの。それは、


――――――生首。


タスマニアとリアーナたちとの条約調印の日にアンを襲い、リアーナが挑発のために帝国に送りつけた生首であった。

これは帝国との戦争の際リアーナたちの有責の証拠となるため、宣戦布告前に回収しておく必要があったのだ。

まぁ、存在が秘匿されている“皇帝の影“の死体をおいそれと公表するかと聞かれれば微妙だが、万一ということもある。

今は死体が散らばるこの工作員の拠点もすぐさまAGCの別部隊がやって来て方つけてしまうだろう。

帝国の隠密部隊は存在した証拠すら残さず行方不明(・・・・)になるのだ


任務は完了だ。このあとはすぐにハンプティーダンプティーのヘリが待つ回収ポイントに直行し、所属する基地へと帰らねばならない。


と、そんなことを考えながら小屋から出ると



「通信?」


それは自分達に直接指示を下す陸軍特殊作戦コマンドからの着信であった。

任務完了の報告をして労いの言葉をもらい、すぐに今回の用件である追加の任務を受領する。


なんでも、とある村の信仰調査らしい。

その村での出生にまつわる言い伝えとそれがどれだけ徹底されているかを調べてほしいのだとか。


この作戦には人心掌握を得意とする陸軍の特殊作戦部隊群も参加するらしく、語学に長けたAGCからも数名を参加させたいとのことであった。


今は帝国領内でその村とやらはイタリカ王国のためかなり遠いが、それでも近くの基地からC17で行けばそうかからない。

今しがた任務を終えたばかりのバトルジャンキーのケがある精鋭部隊の面々は即座に志願することにした。












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