表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/167

辺境伯の憂鬱。

私はヴァイス=セレス――――――タスマニア南部辺境伯にして国家鎮守の要…………と言われている。



精強な騎士、整えられた砦と陣地、それらを活用することで南方隣国を寄せ付けぬ我が領は私の誇りであり存在意義だ。

こうした国境守護のためには武器、防具のために莫大な量の鉄が必要となる。常備軍たる騎士を備えているなら、尚更。

しかし、それにも関わらず我が領には鉱山のひとつも存在しないというのだから気苦労も鼠算式だ。

そうなると、当然鉄も鋼も王家からの購入に頼っているわけだが……………それらには金がかかる。


金銀でも出れば金策もでき、負担も軽くなるが、ウチで取れるのは安価な銅や使い道がわからない、加工もできないせいぜい部屋の装飾にしか使えないような鉱物ばかり。


とある金属が貴族の間で妙薬として好まれているのだが、その利率も良いとは言えない。加工が“不可能ではないが難しすぎる“のだ。

食料も困るほど取れないわけではないが、売り出すには足りないと言う半端さ。


私には息子がいない。王国法に照らし合わせれば順当に行くとリアーナがこの領地を継ぐだろう。


守護の要が聞いてあきれる。娘に不良債権しか残せる物がないこんな男にそんな立派な称号は似合わないだろう。

母親という、子供にとって必須の存在ですら、産後の肥だちが悪く、彼女が物心つく前に死んでしまった。


これからこの領地を押し付けられた彼女は、私を恨むのだろうか。

そんなことばかり考えてしまう私は―――――きっと、貴族に向いていないのだろうな。

チタンが認識されておらず、マグネシウムがサプリメントとして飲まれていた時代の話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ