転生です
注)
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新作投稿直後は誤字脱字、文章の乱れを編集することが頻繁にあります。一日か二日おいてからお読みになることをお薦めします。
軍事関連に関してはなるべく解説を入れるようにしていますが、それでも知識や興味がない方には辛い部分があると思われますのでご注意ください。
主人公等が一部の国を悪く言う表現などがあります。あくまでフィクションのキャラクターの意見ですが、それでも不快な方はブラウザバックを推奨します。
以上のことをご了承の上で楽しんでいただけたら幸いです。
軍人の仕事は、殺すことだ。救助も、平和維持も、いくら平和の仮面を取り繕っても、その本質は殺すことにある。
そう、俺たちを教育した教官どのは吐き捨てた。
その教官は、俺たちの初陣であっさりと反政府ゲリラのプラスチック爆弾で吹っ飛ばされた。
そのつぎは、三度目の出撃、共に娼館―――といっても非先進国のきったないバラックだが――――に行った同期が、少年兵のカラシニコフ小銃に頭を撃ち抜かれて死んだ。
俺は、その少年兵の頭を撃ち抜いて仇を取ったが、そこから一週間は何も食えなかった。
そうして、タガは、外れた。
殺して、殺して、殺して、殺して―――――――――――
たくさんのゲリラやテロリストを、そのなかにはまだ15にもならない少年少女もいたが、射殺した。
そうして俺は、ゲリラどもからオルトロスと呼ばれるようになった。
地獄の番犬、神すら逃さぬ致死の牙。
多少の恐怖と多量の蔑視を含んだその名を背負い、何年も戦場を駆けた。手にはHK416小銃とM45ハンドガン。
そこでは信じられるのは、“相手より先に撃てば助かる“と言うことだけ。
そうして、また、銃を取って、殺して、殺して、殺して、殺して、コロシテ――――――――――
俺は死んだ。
なんてことない、テロリストの撃った弾丸に当たって、普段なら銃口の向きを見てかわせるそれを食らったのは、
俺の後ろには“大義“があったから。
ブルーのベレー帽を被った俺の背後で震える、“難民“たち。
俺が、人を殺す理由。国連平和維持軍の俺が、守るべきもの達。
ここでテロリストの弾丸をかわせば、彼らに当たるだろう、そうなれば、俺は―――――――――なんのためにこれまで人を殺してきた?
誰かの平和のための戦争で、その平和を享受すべき誰かを守りきれなかったら――――――――――俺のレゾンデートルは壊れる。俺は、ただの殺人者になってしまう。
動けなかった、動けないまま、ターバンを被った少女、テロリストに洗脳された哀れな道具のはなったカラシニコフ小銃の、7.62㎜の弾丸は。
俺の胸を貫いた
と、ここまでが、私が先程、わが家主催のセレモニ・デュ・テで、無礼な男爵令嬢に紅茶をぶっかけて、そのぶちまけた紅茶で足を滑らせて転んで盛大に頭を石畳に追突させた拍子に脳に流れ込んできた記憶、というか人格ですわ。
あぁ、ご紹介が遅れましたわね、皆様、私、タスマニア王国南部辺境伯令嬢のリアーナ=セラスと申しますわ。
タスマニア王国は世界でも1、2を争う国力の大国で、国内にはこの大陸でもっとも歴史あるサンタ・ベネディクト学園を有し、強大な軍事力により大陸の3分の1を支配する、所謂糞みたいな覇権国家というやつですわ。
そちらの世界の、アメリケンとかものすごい昔のChinaとかみたいな感じ、ようは侵略国家ですわね?
さて、ここまでは、この世界の誰もが知っていること。ここからは、この世界だと私………………いや、俺しか知らないことだ。
それは、この世界が乙女ゲーの世界だと言うこと。
タスマニアン・ラプソティー、ユーザー数一千万人を誇る大人気の乙女ゲームであり、そのストーリーは貴族子女の通う学園で繰り広げられる恋愛模様をメインに展開される。
ヒロインはアリス=カテドラル男爵令嬢。桃色の髪をした美少女で、王子や騎士団長令息をおとして逆ハーレムを築くポテンシャルを持つ。と、いうか逆ハールートがあるのだこのゲームには。
そして、テンプレというかなんというか、悪役令嬢が居る。
糞わがままなお姫さま、主人公をいびり倒すそいつの名は、
リアーナ=セレス
つまり、あれだ。
「軍人の俺が悪役令嬢転生かよ…………………笑えねぇ……………。」
ジャパニメーションファンの義妹――――難民としてさ迷ってるのを保護して故国に連れ帰った少女に、無理矢理やらされた、タスマニアンラプソティー。俺は、その世界に悪役として転生したらしい。