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第六話「帰宅」

話の進行が亀のごとく遅い

 うちわで顔の辺りを仰ぎながら、縁側から外を眺める。近所には老人しかいないため、電気がついている家は一つも無い。しかし、その代わりに満点の星空が田舎の田んぼを淡く照らしていた。


 横に置いてある蚊取り線香の灰をつつき、残りを確認しながら、ボーッと空を眺める。

 後ろからパサリ、と蚊帳をくぐる音がする。

「お前ももう寝たらどうだ?」

 吉田が後ろから話しかけてくる。


「すまんな、まだ寝れるような気分じゃないんだ」

 うちわを横に振りながらそう言うと、「そうか」と言い、蚊取り線香を挟んだところに吉田が腰掛ける。


「明日、またあそこへ行くのか?」

 吉田が空を見上げながら言った。コオロギの鳴き声が、いやに大きく聞こえる。


「まだ悩んでる。行かないほうがいいのは安全なのは分かりきってることなんだけどな」

 何でも願いが叶う。今回の土砂崩れの件で、正直に言って俺はかなり吉田に悪く思っている。

「あの土砂崩れが無くなればいい、なんてことを願えたらいいなとは思っている」

 そういうと、吉田は呆れるでもなく怒るでもなく、さっきと同じように短く「そうか」とだけ言った。


「確かに、あの土砂崩れには俺も怒りを覚えたし、相崎についてこなきゃよかった、とも少し思っている」

 その言葉に何も言うことはできず、黙って空を見るしかできなかった。


「だが、あれはあくまで偶然だ。お前が何も悪く感じる必要はない」

 吉田はそういうが、まだ罪悪感を完全には拭いきれない。つくづく面倒くさい男だと自分で思う。


 そんな考えをしているのを吉田は察したのだろうか。「あー…」と頬を指で触りながらに吉田は言った。

「こんな体のいいことばかり言ってるけどな、俺も願いうんぬんの前にあのパークってのが気になるんだ。謎に満ち溢れた場所に、あの化け物。命の危険もあるが、あの特殊な武器さえ手に入れば当面は安全だろう」

 

「昼に話していたとおり、探検するのにはふさわしい場所だろ?」

 薄暗い月明かりの下でも分かるほどの笑顔をしながら、こっちを向く吉田。そのとびっきりの笑顔に、こちらもつい笑ってしまう。


「じゃあ、明日は家の中から武器になりそうな物探してパークに行くぞ。じゃあ、俺は先に寝とく」

 吉田が立ち上がり、再び蚊帳の中に入る。俺も、うちわを蚊取り線香から若干離したところに置きながら、蚊帳の中に入った。



 

 

命がけの場所に行く理由が安いな…


改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。


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