第十七話「レール」
「っても、どうやってあんな量の触手を壁から外す?」
「そりゃもちろん、焼くしかないさ」
「は?」
吉田がよく分からないことを言い始める。
後ろの方にある炎を指差す。
「あれ使って何とかしてくれ」
「俺はあの化け物を引き寄せておくから、頼んだぞ!」
そう言いながら吉田が化け物の方へ走っていく。
相変わらずの身体能力で、化け物の振りかざした手をジャンプして避けている。
「…焼くっていってもなぁ」
服を一枚脱ぎ、剣に巻きつける。シャツ姿になってしまったが、大丈夫だろう。
巻きつけた服に火をつけた。
ここからどうしようか。
自分に問いかけたが、やはり方法はこれしかなかった。
「投げるか」
自分の肩を信じるしかない。
剣を右側の壁に刺さった触手に投げる。
剣に点いた火が円を描きながら、触手に刺さる。
触手に火が点き、じわじわと燃え広がっていく。
「片方燃えたな、相崎」
吉田がこちらに戻ってきた。
「火が点いただけだろ。あんな遅い速度で燃えられたら、俺達のほうが先に殺される」
化け物の触手には火が燃え広がっている。
しかし、燃えているだけで、焼き切れるとまではなっていない。
壁から完全に離すには、もう少しだけ待つ必要があるだろう。
「もう片方は、もっと速く確実な方法がいるな」
「でもな… ん?」
吉田が右の方に顔を向けたまま固まる。
同じように横を見る。
化け物が使ったレールの一部が転がっていた。
「なあ相崎、お前力強かったよな?」
「お前本気か?」
吉田が言いたいことは大体分かる。
ただ、それは普通の学生が到底できるようなことじゃない。
「本気だ。投げろ」
こいつ…。また変な無茶振りを…。
怒りを感じたが、咄嗟に考え付く一番いい方法はそれしかない。
確実に肩に幾分かの支障が出るだろうが、死ぬよりはマシ…かも。
「…投げるって言ったって、当たるかどうか…。それに当てたとしても、あの量の触手が切れるのか?」
これまた吉田が後ろを指差す。
「ちょっとドロッとするぐらいまで暖めれば行けるだろ」
そう言うと、親指を立てながら化け物の方へ走っていった。
吉田なりに応援しているのだろう。イラッとするが。
レールは少し長いぐらいで、重いには重いが持てないことない。
ただ、投げると持てるでは大違いである。
脇に抱えるようにしながらレールを炎に突っ込む。
正直、かなり熱い。
炙られている鉄が赤色から白くなり始めた。
やっとこの長い戦闘の着地点が見えました。
改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。




