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第八話「武器入手」

あんまり伝わらないかもしれないけど、肉を食べてるならお気をつけて。

 しばらく時間が経ったころ、ようやく本棚を掴みながら立ち上がる。吉田も、以前顔は真っ白だが、同じように立ち上がる。

「うっ…人間ってあんな声出せるのかよ…」

 耳に未だに残るあの声。思い出すだけでも吐き気を催し、隣から漂う血の臭いはさらに吐き気を催させた。


「何にせよ、隠れて正解だったな…。さて、どうする?」

「どうする、って何が?」

 意図が良く分からない質問をしてくる吉田。すると、親指で本棚の向こうを指しながら言った。

「あの二人の武器を回収するか、ってことだ。俺達の持ってる物より、あっちのほうがいいだろう」


 確かに、あの二人組は剣を持っていた。回収できれば、この心もとない武器よりはよっぽどいい。

「さっきの声からして、碌な死に方はしていない。取りに行かないという方法も、一応することができる」

 吉田がそう言った。顔の色は依然として悪いため、怖がっていないというわけではないだろう。だが、その口調はハッキリとしていて、まるで恐怖を感じていないようだった。


「…けど、俺達もあいつらのようになる可能性があるんだろ? その可能性を下げるためなら、武器を取りに行くぐらいやってやるさ」

 握りこぶしを作り、決心を固める。吉田も頷き、二人で隣の本棚へ向かう。


 入った瞬間に感じたのは、鼻がもげそうなほどの悪臭。さっきの血なまぐさい臭いとは全く違う、まるで腐臭のような臭い。

 覚悟を決めていたが、堪えることができず、胃の中身を全て外に出してしまう。近くにあった本を取り、ページを乱雑に破りながら口を拭く。


「なんだこれ、腐臭…? ついさっきまで生きてたんだぞ…?」

 そう言いながら立ち上がり、吉田の方を向く。吐いてはいないようだが、鼻をつまみ、顔を見たことがないほどに歪ませていた。


 改めてこの悪臭の原因の方に目をやる。腹と思しきあたりからは内臓の中身がはみだし、緑のような色をしている。

 もう一人の死体は見当たらない。が、本棚にいくつか肉片が飛び散り、くっついている。恐らくそれがそうなのだろう。その肉片も、腐った色をしていた。


 鼻を手で押さえながら辺りを探すと、剣を見つけた。しっかりと柄を握っている手首付きで。


 再び吐きそうになるが、何とか堪える。剣の刀身をつまみ、手首ごと持ち上げる。

 手で手首を払いのけようとする。しかし、ふと気になることを見つけた。


 手首の端辺りから徐々に肉が腐ったような緑色に変色しているのだ。ゆっくりとではあるが、見間違いでは決してない速さで。


「うわっ! おい吉田!」

 そう呼びかけると、吉田も本棚に付いている肉片を驚いた顔で見つめている。その肉片も、端のほうから徐々に腐った色に変色していた。


 持っていた槍で手首を剣から落とし、吉田の方に駆け寄る。

「おい、どうなってんだよ。普通こんな速度で肉が腐るはずが―」

「そう、腐るわけがない」


 俺の言葉に被せるように、吉田が言った。

「おい、相崎。その槍でまだ腐っていない肉を刺して、この腐ってる途中の肉片に当ててくれ」

 言われるがままに、槍で肉片を刺し、押し当てる。混乱しているからなのか、そこまで忌避感はなかった。


 腐っている途中の肉片が、槍に刺さっている肉に触れる。すると、まるでウイルスが伝染するかのように、さっきまで赤々としていた槍に刺さっている肉が腐り始めた。


 驚きのあまり、槍ごと地面に落としてしまう。だが、地面に落ちながらもその肉は腐り続けている。

「…どういうことかは分からないが、とにかくここに落ちている肉片とかには素手で触れないようにしよう。武器だけ回収したら、今日はもう帰ろう」

 

 槍をそのままにし、さきほど手首を落とした剣を拾い上げる。その剣は、長すぎるということもなく、短すぎるということもない、適切な長さのものだった。


 吉田が鞘を一つこちらに渡し、剣を収める。吉田も同じように剣を鞘に納め、扉から帰ろうとした時だった。


 勢いよく、扉が開いた。

 

あんまり怖さとグロさが伝わらないなぁ…。


改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。

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