表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/30

9 新緑までの数メートル

足掻こうとしてやってきたいくつものことが、

勝ち目のない戦いそのものだった。

痛みの不治のことではなくて、その承認のこと。

私は私の生き方が欲しかっただけ。

歪んだ正義感に閉じ込められた私は、

無駄な治療と同情をもらえることに。

私はーーあの新緑に手を伸ばして、

「私とは違う瑞々しさがあるね」って、言いたい。

その周りに漂うたくさんの意志たちと話をして、

最後には「面白いね」って笑いたい。

痛みを持ったまま、

叫び声をあげて止めようもなく涙を流して、醜く顔を歪ませながら、

痛み止めもケシの夢もなくていいから、

「クソみたいな世界!」って罵りながら、でも、

「面白いね」って笑っていたい。


今日も点滴……


音もなく落ちていく薬液のなかに、

私の欲しいもの全部が閉じ込められている。

体のなかに入ってきた時、

それらはすでに死んでいる。でも、

手の届かないわずかな距離の先にあるあの緑色、

立ち昇る嬉しさを見せつけてくる木々の揺れ方が、

痛みの浸透する体を苛立たせる。

私は、

死を丸めてペットにしたい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ