7 木々から昇る命
どんどん酷くなる、神経への重圧。
綺麗に映し出されなかった幻みたいに、
私はバグを持ってこの世界に立っている。だから、
痛みは肯定の印。否定の否定。
この体の奥に、痛みを持っている本当の存在がいることの証し。
もっと重圧を。ぼろ雑巾を絞りあげるような力強さでーー
今朝もトン・イータが花を持ってきた。
小さな黄色い花をたくさんつけている緑色の茎ーー
菜の花だと彼は言った。
「君の痛みが少しだけでも散っていくように」
なんて言うから、私はその花をぐしゃぐしゃにして床に投げ捨てた。
彼は素直に「ごめん」と言って俯く。
「でも、痛みのない世界も知ってほしいんだ」
彼は純粋な汚れない瞳をしている。
でも私には、その眼球がとても曇っているように見える。
ズュートは、それが悪を知らないということだと言っていた。
「あなたはどうしていつも機嫌がよさそうなの?」
「ずっと春みたいだったらいいなって思うんだ」
窓の外では、痛みに傷付いた木々の幹から、
かすかな靄のようなものが立ち昇っている。
それらはまだ、互いにくっつき合おうとしていて、
丸みを求めながらゆっくりと空へ解放されていく。
いったいどんな痛みを抱えているのだろう。
それらが生きることのなかにある生命は、
トン・イータよりも純粋な在り方をしている。
彼は、憧れているのかもしれない。
「そのために悪を忘れようとするのは愚かだね」
とズュートは言う。
「私もそう思う」
と返したものの、私だってーー
悪は嫌いだ。