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6 正義感と小さな花

今日も痛い……

赤い視界の端に小鳥が見えた気がして、

その羽はどんな痛みを運んでいるのか尋ねたかった。

骨の軋む音が聞こえたら、もうすぐ死んでしまうだろう。

私はまだ、生きている。

痛みが夢のなかで何度も私を殺しても……

いいえ、私は死ぬことなく、

血まみれだったり、臓腑を出したり、体の一部を失ったりしながら、

固い地面を這いずり回っている。

現実は、点滴をしながら細い体を引きずっている。


青年はトン・イータと名乗って、突然私の部屋にやってきた。

痛みのことを話すと、

「半分だけでもその痛みを肩代わりできたら……」

と言ってくれた。

優しそうな目は、時々どこか遠くを見つめて、

静かに、柔らかそうな唇から言葉を発する。

「痛くて動けない」と言うと、

何も言わずに腕から背中を撫でてくれた。

帰り際に、彼は小さな白い花をくれて、

「いつか痛みが消えますように」

と祈ってくれた。


夕方の痛みが夕陽に焼かれて、「ろくな世界じゃない」と呻いていると、

薄ら笑いを浮かべながらズュートがやってきた。


「昼間の彼は、悪が許せないタイプの人間だね」

「あなたとは正反対」


彼はベッド横の棚に置いておいた花を見つけると、

取り上げてまじまじ眺め始めた。


「返して。あなたには必要ないものでしょ」

「もし君の痛みが悪だとしたら、僕は点滴の中身を毒に変えるよ」


ズュートは花をそっと棚に置いて、つまらなさそうな顔をする。


「もしそうだとしたら、世界には悪しかないことになるわ」

「彼は自分か君か、どちらかを破滅させるだろうね」


痛みを我慢することにして、

ズュートに薬の追加はお願いしなかった。

私の持つものが本当に悪ではないのだと、

ただ、やり方も分からず証明したいと思ったーー

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