表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/30

21 固まった大地

落下しながらもまだ存在していた意志たちが、

窓の景色から完全にいなくなってしまった。

「何もかもなくなってしまった世界」と呟くと、

「何言ってるんだい。地球は最高に生き生きしている。

 目覚めだよ。ようやく地球が目を覚ましたんだ」と、

ズュートははしゃぐように言ってくれる。


「だめ。ぜんぜん何も感じられない」

「それが冬ってことさ」


私だけ適切な場所に行くことができず、

この地上にひとり取り残されたような感覚。

それは恐い。死を思う時よりも恐い。

私が痛みを持って叫び続ける様々な声を聞く者がいないということは、

私から存在する意味を奪っていく。

誰かのために生きるのではない。としても、

誰かがいないと、人間はきっと、生きていけない。


「でもここにはもう、君の手足を動かしてくれる者は存在しないね」

「私にはまだ、誰かの意志が必要なのよ」


一瞬ーーズュートの顔が父親のように見えた。

まったく似ていない二人の顔が重なったわけじゃない。

私はズュートが父親だったらよかったのにと思い、たぶん、

ズュートも私が娘だったらよかったのにと思った。

でも最後には視線を落とし、瞼と睫毛に暗い影を差し込ませて、

ズュートは無言で部屋を出ていく。

捨てられたような気がして、私は泣いた。

痛みも少しずつ強くなっていき、自分の体を抱きしめながら、私は泣いた。

段々どうして泣いているのか分からなくなってきて、

喘ぎながらナースコールを押し、力一杯の声を出して罵った。

何と言ったか覚えていない。でも、

私は否定の言葉を使いながら、ズュートにただ、

「愛している」と言いたかった……ただ、それだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ