13 愛
愛とは何かと尋ねるのは、
私がそれを知らないからじゃない。
むしろ私は、愛のことをよく知っている。
例えばこの全身に存在する痛みの強弱のなかには、
語りかけようとしてくる愛の意志を感じる。
それから、ズュートの私に対する、頭のおかしい行為の全て。
あれは紛れもなく愛に貫かれた行動で、
だけど……
私はその全てを受け取ることができない。
あまりにも大きな感情がそこにはあって、
私の持っている小さな器では汲み取りきれない。
だから、私は尋ねたいーー愛の大きさに怯まない方法を。
ズュートが大量のセミを殺した日の午後、
トン・イータがやってきたので、
「あのセミの死骸を全て取ってきて。私が食べるから」
と言うと、「何のために?」と訊かれた。
「愛のためと言ったら納得できるの?」
「君は間違っている。それは愛じゃない。狂った性向だ」
「じゃあ、あなたの愛を教えて」
「君の痛みを取り除いて、君に明るい世界を見てもらいたいと思うこの心」
どうして私なのかと訊きたかったけど、
その答えが恐くて、私はそれ以上何も言わなかった。
トン・イータは寂しそうに笑って、
「また来るよ」と囁くように言って、出ていった。
彼と一緒に夏まで出ていってしまったような気がして、
私は生暖かいシーツを掴む。
大丈夫……ここにはまだ痛みがある。
暑さのなかで躍動している痛みがある。
だけど……ひとりになった部屋は、なぜかとても静かだった。




