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ぬいぐるみはいりません

お待たせいたしました。

 実際ガートルードはぬいぐるみが欲しくて奪おうとしてたわけじゃない。


 そもそもあれはぬいぐるみよりキラキラ光る宝石のが好みだ。


 まだ五歳児のくせにね。


 ちなみに十八歳庶民の人格を取り戻した私は現金のが好みです。


 現金でなければ砂金や金の小粒など換金性の高いものが。


 金塊もとても魅力的だとは思うけど、何かあった時に持って逃げるには融通利かなそうだし。


 と、話がずれていってしまったが、要はどうぞと差し出されても、使い古したぬいぐるみなどいらないというこの事実。


 しかも、無理して差し出してることがありありとわかる相手からもらうなど、論外。


 いらないものなら取りあえずもらっておいて後で捨てることもできるが、処分も出来ない不用品など取り扱いに困るだけだわ。


 さて、どうしようかしら。


 どう切り返すのが、一番無難だろうか。


 しかしこの姉、本当に天使。


 私だったら思わずぶっ叩きたくなるようなこんな悪童に向かってまだ「可愛い妹」とは恐れ入った。


 見た目だけでなく心までも綺麗だとは……。


 本当に前世の姉とは比較にならない。


 こちらの毒素が浄化されるような気さえする。


 こんな希少生物、きちんと保護していかないと駄目ね。


 うまく育てれば成長してもこのまま、でいけるかも。


 せっかくの素材、損なうのはもったいないもの。


 それは今後の課題かしら。


 でもまずは、この場をなんとかしないと。


 姉の心遣いを無駄にせず、いらない物はいらない物として受け取らず、姉の私に対するイメージをこれ以上ダウンさせずにするには……。


 となると、今回の正しい対処はこれで決まりね。


「ありがとうございます。お姉様」


 私はぎゅっとぬいぐるみごと姉の手を握る。


「でもいいのです。私はお姉様があまりにそのぬいぐるみを大事にしてるので、……その、つまらぬやきもちを……。本当はぬいぐるみより、お姉様と遊びたかったのです」


 うん、砂吐きそう。


「そのぬいぐるみも、本当に大事にしてくれるお姉様が持っていらっしゃった方が喜ぶと思うのです。ただ、もし私が貸して欲しいと思った時は少しだけ貸して頂ければ、それで十分です」


 まあ、そんな日がくることはないけどね。 


「それよりお姉様、あんなことをした私こそ、許して頂けますか……?」


 ここで秘儀・上目遣い。


「ガートルード……!」


 エヴァンジェリンは感動したような表情で、うっすら涙を浮かべて何度も頷いた。


「何て良い子なの! 今まで私の方こそごめんなさい! 姉である私がもっと気をつけて、もっとあなたにかまってあげるべきだったのに……! これからはもっと一緒に遊びましょうね。この子と遊びたくなった時もすぐ言ってね。いつでも貸してあげる。大好きよ、ガートルード!」 


 そして、ぎゅっと抱きついてきた。




 チョロ過ぎなんだけど。


次回もよろしくお願い致します。

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