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ナニワ遺跡探査の始まり

 ナニワ遺跡はクレーターの中にあった。クレーターの内側に月と同じ色をした卵円形のドームがあり、そのドームの一部に穴があいて遺跡は露出していた。ドームの内部はよく見えなかったがドーム自体を見た感じでは「これは明らかに人工物である」そう思った。

 それ以上に興奮と恐怖の綯い交ぜになったような奇妙な感情が沸き起こっていた。非人工の人工物がこれほど本能を呼び起こすと言うのは意外だったが、当然のようにも思えた。とりあえずバギーを降り「じゃあ行きますか」と皆に声をかけたが5人中3人が体調不良を訴えた。純粋に恐かったんだと思う。私と広報部の為近さんの二人で遺跡内に入ることになった。為近さんは4人の中で一番下役なのだろうか。私物のカメラは真空条件に対応していないかもしれないと言うことで、県支給のデジタルビデオカメラとハンドライトを持ち二人でドームの入り口に向かう。

 漆黒の闇にぽっかりと口をあけた灰色のドーム。これは未だかつて我々のではなく、おそらくこれからも我々のものではないだろう。

「じゃあ、入りましょうか」

そう言った為近さんの声は震えていた。重いスーツのせいなのか、何かによって引き起こされている恐怖感のせいなのかはわからないが二人の足取りは重くゆっくりと遺跡の入り口へと向かった。

 入り口と言うには少しいびつな形をしているそれは入り口ではなくおそらく傷跡と言った方がいいものだった。穴があいてしまったのは月軌道上で廃棄されたゴミの落下のせいらしく、穴の近辺にはゴミが散乱していた。為近さんは私に先に入るように薦めながら会釈した。

 遺跡内部は想像した以上に広くそして明るかった。明るかったと言うと語弊があるかもしれないから言い換えると真っ暗ではなく薄暗い灰色の闇が広がっていた。外部から見たドームは月の地面と同じ色をしていて、そのせいでデブリによって事故がおきるまで外観からは発見はふかのうであった。そこから考えればドーム外壁は光を通さないのだから中は暗闇のはずである。が、薄暗い。なにやら畏れつつカメラを回しつつ周囲を確認してみると、何もなかった。まっ平らな地面に違和感を感じたが一人でドーム内に居るのが嫌だったので

「何も無いですよ」

と為近さんに言うと、スーツの調子が悪いのだとかぶつぶつ言い訳をしながら彼は恐る恐るドームの中に入ってきた。企業の社員で危険なことからは離れて暮らしてきた彼の一方で、私の中ではなにやらジャーナリスト精神のようなものがムクムクと沸き起こってくる気がしていた。

「もう少し奥まで行ってみましょうか」

そう言うと彼は渋々承諾した。極秘任務を成果無しで帰ればそれはそれで不味いのだろう。

 ドームの中心に向かってほんの5メートルほど歩くと段差があらわれた。一メートル無いぐらいだが低くなっている。嫌がる為近さんを説得して段差を降りるとまた平たい地面が続いているようだった。段差はドームの内側にずっと続いているようでありおそらく同心円状に囲っているように思われた。

「整備されてる…」

声に出したのは為近さんだった。私もそう思っていたし、始めからわかっていたことなのになぜだかぞっとした。恐怖なのか気分の高揚なのか区別がつかなかったが身の毛がよだった。

「これは明らかにそうですよね。ひょっとすると道路なのかも知れないな」

声を出さなければドームに飲み込まれそうな気がして意味の無いことをつぶやいてしまう。二人で呆然とドームの内側を眺めて立っていると、ふと静か過ぎる気がした。

「外の3人聞こえますか?」

返事が無い。まるで漫画のように二人は顔を合わせて全速後退した。着慣れないスーツで1メートル程度の段差に足を取られながら入り口に猛ダッシュして入り口に戻った。すると

「もしもーし、為近さーん」

と応答を求める声が聞こえた。どうやらドームは電波を遮断する性質を持つらしい。入り口近辺では普通に通話が可能だった。

 ドームを隔てると無線は使えないようなので、入り口まで車を突っ込んでそこをベースキャンプにしてしまう案を採用して、再度内部探査に出陣することになった。今日は一度フォンブラウンに戻って後日と言う為近さんの案は即時却下された。再度探査のメンバーは私と為近さんの二人で決まったが、為近さんはそれほど嫌がることなく単にうなだれて諦めている様だった。

 私達二人はまたドームに入っていった。入り口はバギーの強力なライトで照らされていて、足元に自分達の足跡が残るほど埃が溜まっていることに気がついた。残された足跡は往復合わせて4本の道筋が残されている。足跡をたどり段差を降りてさっき来たところまで再び帰ると

「内橋さん聞こえてますね」

と為近さんは怒気を含んだ声で通信状況を確認した。大丈夫ですよと言う声が聞こえ、振り返ると誰かが手を振っているのが見えた。いきますよ、と声をかけてビデオとライトを両手に持って中心に向かって歩き始めた。

某T樫さんがやたら書くのが遅いのでいつも腹を立てている私ですが、彼の気持ちが痛いほどわかるぐらい遅れてしまいました。期間があいてしまうとどういう風に話が来てたか忘れてしまうので四苦八苦してしまいました。ホントに申し訳ないっす。

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