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月面基地ナニワは今日も夜です

連載を書いてみようと思ってジャンルを考えるとなんとなくSFになりました。週一ぐらいで続編書いていければ良いなぁ。一話は内容が全くないです。もっと頑張ります。

 今日もずっと夜だったように思う。


 月面基地ナニワは人口3万、男女比10対1の日本の飛び地である。ご存知だろうが世界で唯一の地球外都市であり、唯一の月面基地である。月面上の資源採掘を目的とした営利施設であり、民間企業「なにわエネルギー工業」が建設、維持、運営を行っている。

 ナニワでは主に資源採掘を行っているが、採掘している資源はヘリウムスリーである。月面基地でヘリウムスリーを取り出し、地球に輸送している。

 ナニワは日本の飛び地であり、フォンブラウン県ナニワ市という住所が与えられている。フォンブラウンの名前を使ってしまう辺りが官僚らしく安直でなにやら愛着が湧く。月面基地ナニワに来るには種子島宇宙空港から人工衛星「トゥモロー」行きに乗り、衛星で乗り換え週一便出ているナニワへの直行便に乗り、3日で月に到着する。

さて、つまらない地理的なお勉強はこの辺にして、本冊子「月の夜遊び」の主題に入っていこう。


 文頭にも書いたが月面基地ナニワは常に夜である。月面基地は朝昼は6時から18時まで、夜は18時から翌日の6時と決まっている。しかし体感としてはまるっきり24時間夜である。朝には全館のライトが点灯し、公園などの窓の液晶画面には日光が映される。夜になると全館を薄暗くし、モニタには夜空と地球が映し出される。しかし、体感としてはどう考えても夜なのである。室内にいて電気を切ったり点けたりしている状態に近いかもしれない。しかし、常に夜であるように感じるのはそれだけが原因ではない。

 月に於ける重力は地球の6分の1、長期の低重力下生活は人体に多大な影響を与える。そのため月面基地ナニワでの最長滞在期間は4年と決まっており、単身赴任の男性がほとんどである。家族での生活者はほぼ皆無だ。成人男性の性欲を処理するために、また家族と会いたいという渇きを潤すためにナニワは大規模な歓楽街が用意されている。ナニワの住人の10分の1の女性は多くがこの歓楽街の女性従業員、浴場従事者である。しかも歓楽街の多くの店が24時間営業であり街には若い女を求めたおっさんや一杯呑んで出来上がったおっさんが昼夜を問わずフラフラしている。

 「月で女を買うと安い」という話を聞いたことはないだろうか。ナニワにおいて風俗業はすべてなにわエネルギー工業社が経営しているため、支払われる給与はほとんど女性の手元にのこりその結果、地球上の風俗より随分と安くなるのだ。

 地球の嫁さんから開放されて、しかも格安な大規模な歓楽街。まるで男性の天国のような所であるが、ナニワで女遊びをするためには非常に多くの試練を超えなければならない。まず、宇宙に感染症を持ち込まないための細菌検査にすべてパスする必要がある。おかげで風俗店で病気を貰うことはない。また、一日6時間以上の労働が必須となる。日曜日に働きたくなければ毎日7時間働く必要だ。しかも、仕事のほとんどが肉体労働である。月面での掘削作業は基地外で行うものと基地内で行うものがあり、これはもうウンザリする位にしんどいのである。四六時中呼吸困難な状態で、6時間穴掘りをしつづけるので非常に忍耐力を求められる。私なら耐え切らないのでさっさと地球に帰りたくなるだろうが、3年は帰らないという念書に判を押さなければ月には来られないので残念ながらそれも不可能である。

 あなたがもし、ペンより重いものなんか持ったことない弱虫にもかかわらず風俗天国への憧れを忘れられないならなにわエネルギー工業の月開発部の試験を受けてみればいいでしょう。非常に狭き門なので一生懸命勉強してください。

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