表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

発見?

 1時間目が終わり、休み時間。

 首藤がプリントを健太に渡した。


「やーまじ助かったわー!さんきゅ!」


「まあ俺のじゃねえけどな」


 その通り。

 俺たちが借りていたのは、河合佑樹のプリント。

 ヘル好き仲間の『ゆうき』かもしれない人物のプリント。

 悠は思い切って健太に申し出をした。


「あのさ、直接お礼いいたいから、プリント返す時ついてっていい?」


「あ、俺も俺もー」


「おー。いいよ。昼休みな!」


 どうやら河合佑樹と健太の間では、返却時の約束も済んでいるらしい。

 昼休み。

 悠にとって、運命の出会いになるかもしれない時間。

 その時間までの授業3つ、どれも全く集中ふることができなかった。

 そして運命の昼休み。


「とりあえず佑樹のとこ行ってくっか」


 健太の申し出で、昼食の前にプリントを返しに行くことにした。

 河合佑樹は隣のクラス、移動など一瞬だ。

 隣、2年3組の教室の前の扉は開いていた。

 健太は何の迷いもなく、中に入っていく。


「おーい佑樹ー!」


 その声で振り向いたのは、黒髪に眼鏡、そして少し日焼けしている、小柄な、どちらかと言わなくても地味な男子だった。

 椅子だけ後ろを向けて、後ろの席の友人と一緒に昼食をとっていたようだ。


「あ、健太」


「プリントさんきゅー!」


「いいよ別に」


 すごく穏やかな空気を持っている。

 こいつが『ゆうき』か?SNSほどの口数の少なさは感じないが……。


「実は俺だけじゃなくて友達にも見せちゃった」


 それに大しても、「ふぅん」といった様子で、特別気にする風でもない。


「さんきゅ!」


 隣にいた首藤の声で現実に引き戻され、悠もあわててお礼を言う。


「あ、ありがとう!助かった」


「どういたしまして」


 こいつは『ゆうき』じゃないのか……?ヘル好きにも見えないし、SNSのような素っ気なさも感じない。

 観察している悠など気にせず、健太と河合佑樹とその後ろの席の男子で、放課後の話をしている。

 どうやら後ろの席の彼も、テニス部であるようだった。


「じゃ!また明日!」


 そう言った健太に続いて、悠たちも3組の教室を後にする。

 また明日?ああ、今日は部活休みみたいな話してたな。

『ゆうき』のことが気になって、思考がまとまらず、ぼんやりとそんなことを考える。

 考えている間に、あっという間に2組の教室にたどり着いた。


「弁当食おーぜー」


 昼食中も、悠は健太や首藤の話になんとなく相槌を打つだけ。


「そういや河合?と仲良いんだな。タイプ違くね」


 会話に集中できずにいた悠も、河合佑樹の話題になった途端、会話に食いついた。


「それ俺も思った!どういう知り合い!?」


 急に食い気味になった悠に、健太は「お、おう」と少し引いてから、話し始めた。


「中高って、学校も部活も同じだけだよ」


 なんてことない、ただそれだけ。

 しかし、どんな情報であっても『ゆうき』に繋がる手がかりになるかもしれない。

 悠は、河合佑樹についての情報も集めていこう、と決めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ