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機械国家  作者: 倉本咲楽
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始まりの機械

コチコチ、螺子の巻かれる音が耳障りに貫くのを私はそこから動かず聞いていた。

音のする方を向けば機械が動いている。

いや、“動いている”なんてものじゃ表現しきれないかもしれない。

だってそれは…


いつからか世界は“機械”というものに支配されてしまった。

どこを見ても機械、機械、機械。

狂ったのかと思ってしまう程市には機械が溢れていて、よく言えば便利、悪く言えば恐ろしいものだと私は少なからず思っている。


機械に支配されてしまった国、日本。

日本人の技術能力は素晴らしいと絶賛された時代から幾年はとうに越えてしまっている。

昔の資料なんかで日本を見るとまだそこまで機械に支配なんてされていなかった。

人間が手作りで料理を作ったり、掃除をしたり、買い物や車の運転だって、人間が機械を動かして行っていたのに、今は違う。

ほとんどのことを機械が行ってしまっている。

人の道楽というか、一度機械というものに身を投じてしまえば後は簡単なのだろう。

ただ楽をすることを望み、一心不乱に機械を生み出し、アレンジを加えたり、改良を施し、より良いものを作成しようと奮闘する。

それだけのためにこいつらは生み出された。

人の傲慢さもここまでいくと感服せざる終えないが、どうしてここまで機械に拘るのだろうかと私は思ってならない。

“手作り”を謳っている明治とかそこらからずっと続く老舗の店でさえ機械の便利さには勝てず、ほとんどの店が機械に頼っているのが現状だ。

味は昔と変わらず美味しい、が、人の温かみで作られていない料理の味はいいとは感じない。

機械的に作られ、昔ながらの味のみを守っていて、とてもよいことだとは思えてならない。

小さい頃から大好きな店がまさにそうだった。

機械が作ったのと人が作ったものでは全く違う。

舌触りも香りもほっと一息つく心地よさも、何もかも機械には勝てないだろうと思っていたのに、それすらも機械は越えてしまったのだ。

試行錯誤を繰り返した結果、創業100年の味をいとも簡単に再現してしまう程、今の機械技術の凄さに私は圧倒してしまった。

機械に頼るのが悪いとは思っていない。

私だって少なからず機械に助けられているし、便利だと感じることはよくある。

けど、ここまで広まってしまってはありがたみもへったくれもないだろうに。


これは、そんな世界の話。


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