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第七章・名を叫べ

「」は普通の会話



()は心の会話



[]は頭の中の会話



うまく説明ができないので、読んで理解してもらえると嬉しいです。

「契約者は私が抑えるから、女の方頼んだわよ」



「分かった…無理すんなよ」




ウィンディは契約者の男の方へ、俺はもう片方の女へと攻撃を仕掛ける。



「凍てつく気、我が身に集え。氷の(フリーズアーマー)



「氷上滑走!(アイススライド!)」




(接近戦で一気に決める!)



間合いを詰め、右拳で相手の腹を狙う。



ガン!


右拳は鈍い音をたて、止められていた。



「大地の(グランドアーマー)……接近戦に慣れてないと思った?」



「くっ…杖だからって甘く見てたぜ……」



「荒れ狂う風、その風は全てを切り裂く烈風となる…」



「中級魔法!?」



「狂嵐の刃!(クレイジーストーム!)」



「やばっ!!」



術を唱えると杖の先から、風の渦が凄まじい勢いでナキに襲いかかる。



ナキは左の茂みに飛び、間一髪で避ける。さっきまでナキが立っていた足場は風に抉られていた。



(油断しなければ攻撃は避けられる、問題なのはあの鎧だな…どうする……)



「早く君を倒してあの子をゆっくりと苦しませてあげる」



「そういえば…何でウィンディはこんな戦いをしてるんだ?…」



「知らないの〜?それはね…バカみたいに怒って私達に挑んできたから少し痛めつけてあげたの〜……アハハハハ!!!」



「結局君まで巻き込んじゃって…本当にバカだよね〜…アハハハハ!!」



(ウィンディが…怒った……)



「どうしたの〜?もしかして、あまりにもバカらしくて言葉がでないの〜?」




「いや…嬉しいんだよ」



「はあ?」



「アイツが本当の自分を見せてくれたんだ…こんなに嬉しいことはない」



「ようするに君もバカだったってことね」



「そうかもな……だけど…」



「だけど?……」



「そんなバカ共を相手に未だ倒せない奴はそれ以下だろうな」




「言ったわね……後悔させてあげる!」



(よし、挑発に乗ってきたな…)



「くらえ!!」風の渦をこっちに乱発してくる。それを慌てず木々の間を滑って避ける。



「ハア…ハア……ハア…」




「かなり消耗している……今だ!!」




相手の隙を逃さず、一気に距離を積める。



「残念!まだ残ってるわよ…死になさい!!!」




今までとは比べものにならない程の風の渦が、ナキを包み込まんとする。




「くっ!…氷の鎧……前面全力…展開!!!」




氷の鎧を前に集中させ、風を遮る。しかし、全ては防ぎきれず、肩や腕、足などに痛みを感じる。



「くそっ!!負けるかー!!」



出来る限りの魔力を前面に集中させる。




ドオォォン!!



辺りの地面を砕き、木を薙ぎ倒し風は消えた。……だが!。




「そ、そんな…私の……全力…」



「…倍返しだ!!」



拳を女の頭に叩きつける。女は気絶し、その場に倒れた。




「本当は顔を殴ってやりたいが……自分が女だった事に感謝しな」



ナキはその場を離れ、小走りでウィンディの所に向かった。




(やばい…魔力を消費しすぎたな……)




サザッ!



「うぉ!!」



突如近くの茂みに襟首を掴まれ、引きずり込まれる。



「さあ!ギブアップを………あれ?ナキ?」



「あの〜、レンさん俺は味方ですよね?なぜ剣先をこちらに向けられているのでしょうか?」




今俺達の体勢は、俺は地面に背中をつけ、その上にレンが跨るように乗っている。



「あっ!ごめん、今降りるから」



「ああ…別に怪我してないから大丈夫だよ」



背中を木にもたれさせ、一息着く。さっきスカートから白いヒラヒラの下着が見えたことは、俺の心の奥にしまっておこう。




「契約者はどうしたんだ?戦ってたんじゃ…」



「アイツが意外に強くてアンタと合流して2対1で倒そうと思ったのよ」



「で、そこに俺が来て敵と間違われたと言うわけか…」



「ナキこそ、あの女はどうしたの?もしかして…」



「ああ…向こうで延びてるよ」



「へぇ〜、なかなかやるじゃない」



「気になったんだが……お前俺の事ナキって呼んでたっけ?」



「そ、それは…そっちの方が呼びやすかったからよ!それにア、アンタもさっき私の事レ、レンって呼んだじゃない!」



「レンって呼んじゃダメか?」



「べ、別に……好きに…すれば」



レンはそっぽを向きながらそう答えた。



「さて、じゃあ行くわよ」



レンは茂みから立ち上がり、林の奥へと歩いて行く。



「ちょ、ちょっと待て!作戦も無しで戦うのか?」




慌てて茂みから立ち上がり、レンについて行く。



「作戦なんて話してるうちに考えたわよ」



「すごいな…でどんな作戦?」




「簡単よ、私が合図したらナキは一直線に突っ込むだけ」




「本当に簡単だな……いたぞ…」




林の中を歩いていると、少し離れた場所に契約者の男がいるのが見えた。



「ナキはここで待機、私が合図するまで出ないこと。分かった?」



「分かった、お前も無理すんなよ」



片刃の剣に銃がついている、いわゆる銃剣を持ってレンは駆けていった。




バンッ!


突如、銃声が木霊した。どうやらレンが仕掛けたようだ。



「そこかー!!ギル!」



男も即座に精霊で攻撃をする。



「頼んだわよ!リリス!!」




互いの精霊がぶつかり合う。レンは透かさず男に斬りかかる。



「ハアァァアッ!!」


ギンッ!ギンッ!


男も剣を出し、凄まじい鍔迫り合いが始まる。




(まだか…合図はまだか…)



直ぐにでも駆けつけたい気持ちを抑え、静かに合図を待った。




「汝を貫くは非情なる疾風!」




鍔迫り合いの中レンは、術を唱えた。



「今よ!ナキ!!」




「任せろ!レン!!」




合図と共に男目掛けて走る。男の精霊はレンの精霊が止めてくれている。




「うおぉおお!!」




「くらうかー!!」




俺を寄せ付けないように男は剣を構え、突きを繰り出す。



「残念だったな奇襲失敗だ!」



「いや…成功だ!レン!!」





「まさか!囮!!…」



「…貫け(疾風の槍)ウィンドランス!」



俺に気を取られていた男は、横から来たレンの攻撃を防げず、茂みの中へ飛んでいった。




「ふぅ〜、終わったわね…」



「そうだな…あれで立って来たらすげーよ…」




「リリス…戻っていいわよ」



「りょうか〜い」




「ぅ、ぅう……」




「ん……」




「ぅうう!!…」




「レン!精霊をもどすな!!!」





「ギルーーーーーー!!!!!!!!」




男が飛ばされた方の茂みが、呼び出された炎の精霊によって燃えていく。




「殺せー!!」



男の叫びと同時に炎の精霊がこっちに迫ってくる。



「レン避けろ!」



「分かってるわよ!…うっ……!!」





後ろを見ると、レンは真っ赤に腫れ上がった右足を抑えていた。



「私に構わずアイツを倒しなさい!契約者が気絶すれば、精霊は消える!」



「……分かった…」



(……分からない…)




「任せたわよ…」



(どうして……お前は…)



「籠手刃…(スラッシュモード)」




「ナキ……」




「ふざけんなー!!!」




前面に籠手を構え氷の鎧を展開し、炎の精霊へと突っ込んで行く。




「ぐぅう…!!ぐぁあああー!!!!」




(熱い…熱い熱い熱い熱い…!!!!)



焼き付けるような痛みが体中を襲う。まるで炎に包まれているかのようだ。


「バ…バカ!!何やってるのよ!」



「お前こそ何やってんだよ!!」


「え……」



「自分だけ傷ついて…他の人が傷つかなければそれでいいのか!!」



「何言ってるの!ここでは魔法での怪我はしない!痛みを感じるだけなのよ!!」



「怪我はしなくても…!痛みがあるならいっしょだ!!」



「どうして…どうして自分を傷つけるんだよ!!」



「それは…それが一番の方法だったからよ!」



「一番…?バカ野郎…!!一番なわけねぇだろ!!」



「お前に言ったはずだ…自分を殺して達成したことに意味はないって……」



「でも、でも……」



「俺がいるだろ!!」ゴォオオオ!!!



「あ…がぁああ!!」



さらに炎力が強まり、もう気が遠くなりそうだ。


「…ナキ……」



「お前は……1人じゃないだろ!!」



「う…うっ…!」



「辛くて…苦しくて…泣きたいような事も…お前が自分を殺さないように…俺が半分……背負ってやる!!」




「お前は泣けるし…笑えるし…怒れるんだ…」




「ぅう…ナキ……」




「俺がお前の騎士になってやるよ!!」




「殺せ、殺せー!ギルー!!!」




「グゥオオオ!!!」




(魔力が…たりねぇ……ちくしょう…負けられない!負けたくない!!)


「ナキー!!」



(力が欲しい…ぶっ飛んだ奇跡が起こせる……力が…)



「ナキーーー!!!!!」



[負けないで!ナキ…]




(な、なんだ…この声は…レン?)




[ナキ…!頑張って!]




(レンの声が伝わって来る…外からではなく内から…)




(頭の奥から名前が響く…!!)



「………モラ…」



ナキは自然にそう口に出していた。




「やっと思い出してくれましたか……ナキ…」



声と共に白い宗教服を着た白髪の青年が出て来た。透き通るようなスカイブルーの目で俺を静かに見つめていた。




「私が少しだけ支えましょう…後はナキしだいですよ」(こ、これは…魔力が戻っていく!心が…静かになる…)




「グゥオオオ!!」



「奇跡をおこせぇええ!!!」




ガシャアン!!!



炎の精霊は一瞬で氷付き、ガラスのように砕け散った。




「ギルー!どうした!ギ……!!」




「オラァアアア!!!」




「ぐはぁ!!…ぁ……」



全身全霊で繰り出したアッパーは男の意識を奪った。




「ハァ…ハァ……」



「ナキ…ナキー!!」




「!!…レン…」



急に抱きつかれてナキはどうしたらいいか分からず戸惑った。



「ありがとう…本当に…ありがとう……」




「俺の方こそ…ありがとう…レン…」レンの頭を撫でながら、泣いているレンに精一杯の笑顔で微笑んだ。




「…悪い…レン…ちょっと疲れたみたいだ…」



「え!?なに…?ナキ、ナキ?」



「………」



聞こえてくる歓声と共に俺は眠りについた。

書くのが遅くなったりもしますが、頑張って書いていきたいです。


φ(._.)

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