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第一章・始まりの風

1つの話が長いです。


読みずらいかもしれませんが、読みやすく書けるように頑張って書いていきたいと思っています。


読んでくださると嬉しいです。ヽ(^^)

気がつくと目の前には清々しい青空が広がっていた。右や左を見ても見えるのは空だ。ただ、その景色は徐々に遠のいていく。


そして気づく…自分の体が宙を舞っていたことに。


「……どうして…」

そう呟きながら、こうなるまでの事を思い返していた。







朝…目が覚めると予定より20分程早く目が覚めてしまっていた。二度寝を決め込もうと思ったが、体がそれを拒んできたので仕方なく起きることにした。


中学までは親に起こされたり自力で起きたりしていたが、高校生になった今は故郷を離れ王都アルティアに住んでいるため毎日自力で起きなければならない…いや……高校生になる、の方が正しいか。今日は俺が通う予定の、アルティア魔法学園の入学式だ。この学園は優秀な人材を育成するために王都周辺にある五つの町から学生を集めて作られた大規模な学園である。学生の中にはさらに遠い所から来ている人もいる。



指定の赤と黒を主とし黄のラインであしらった制服を着て部屋を出た。


王都内にある宿はほぼ学生が住んでいる、王都内に家がある学生は家に住むが、基本王都外から来ている学生がほとんどなので、宿は学生寮のようなものだ。



「オーイ、カイト起きてるか〜?」


入学式は友人と行く約束をしている。


(まだ寝てるのか…?)


返事がないのでドアを開け部屋に入る。すると友人の姿はなくテーブルの上に手紙が置いてあることに気づいた。



ナキへ

何か知らんが、学園長に呼ばれたから先に行くわ。悪いけど迷わないように頑張って学園に行ってくれ。

カイトより



「まあ…しょうがないなか」



友人の部屋を後にし宿を出ると、空一面に青空が広がっていた。


こんな日は何か良いことがあるんじゃないかと心が踊る。


そんな風に考えて歩いていると、少し前で荷物を重そうに持っているおばあさんが見えた。持っているのは相当な量の食材だ。落としたりしたら下の食材は潰れてしまうだろう。



「あの〜荷物お持ちしましょうか?」


「おやおや?ありがとね」ゆっくりとおばあさんがお礼を言った後、荷物を受け取った。うん!なかなか……重い。


「確か今日は入学式じゃなかったのかい?遅れたら大変だろうに」


「大丈夫ですよ、これでも足には自信があるんです!」



(いや、足は足でも逃げ足の方なんだけどね………学園には間に合うだろ。)


「私の孫は学園に今日入学するんだよ」


「そうなんですか、僕も今日入学するんです」


「そうなのかい、仲良くしてあげてね」


「……もしかしてこの食材はお孫さんのためのですか?」


「入学祝いの御馳走を夕食に作る予定だったのだけど……3人では食べきれないね〜」こっちを向いてフフフと笑うおばあさん、いやいやこの量はフフフじゃ済ませられないよ。「良かったら今晩一緒に夕食を食べないかい?荷物を持ってくれたお礼もかねて」


「良いんですか!いや……だけどお孫さんに悪いしな…うーん…」


「フフフ、家の地図を渡しとくよ」



俺のポケットに地図をグイグイ入れてくる。おばあさん意外と強引だね。


「キャアアア!!!」


噴水の近くまで歩いてくると突然近くの広場から悲鳴が聞こえてきた。


「何かあったのかね〜?」


「すいませんおばあさん、僕ちょっと見て来るのでここで待っていてください」


おばあさんを近くのベンチに残し広場に向かって走った。



広場に向かって走っているとすれ違ったおじさんに呼び止められた。「君!今広場に近づいちゃダメだ!宝石店を襲った3人組が暴れている!」



「で、でも悲鳴が……」


「キャアアア!!!」



「くっ!…」


「無理だ助けられない!オイ!待つんだ君!」



おじさんの注意を無視して広場に走る。



「みんな分からないんだ!助けてもらえない奴の………苦しみを…」




広場にでると宝石店が燃え上がっているのが見え、広場に2人、店の近くに1人いるのが分かった。



「1対1なら何とか行けるか…」


迂回して店の裏に回る。

店の中には女性店員が2人、炎の魔法を放っている男が1人いた。


「……大丈夫ですか」


「……え…君は?…」「助けにきました早く裏口から逃げて下さい」



裏口からゆっくりと店員達を逃がす。暴れるのに夢中なのか、男は人質が逃げ出したことに気づいていないみたいだ。



「よし…後は警備兵を…」


「んん!?人質がいねぇ!!」


(やばい!気づかれた。よし自慢の逃げ足で……)



ガラガラッ!!


逃がさないと言わんが如く崩れてきた天井に裏口を塞がれてしまった。



「……なんだお前」男は俺に気づきナイフを向けてくる。



刹那、ナキは男がナイフを持っている方の手に掴みかかった。



「ただの…学生だよ!」

「凍てつく気、我が身に集え!!氷の鎧[フリーズアーマー]」



「う、うわああ!!」ナイフを持っていた手を凍らせ壁に貼り付けた。



「吹っ飛べ!心響拳!!」

男の腹に渾身の右拳を入れる。脆くなった壁と共に男は店の外に飛んでいった。



広場にいた男達も仲間が飛ばされて来たのに気づき、こっちに近づいてくる。



「………もう、やるしかないか…」



人質助けて後は警備兵を呼ぶだけだったのに……やっぱり、物事そんなに上手く行かないよな。背が高い方の男が剣、低い方の男がナイフか。



「素手じゃ無理だな……仕方ないこっちも武器出すか!」



右手から魔法陣を出す。中から籠手を取り出し、両手にしっかりと装備する。



「なんだやる気か?…ガキが調子にのんじゃねぇよ!!」



大男が剣を振りかぶり走って来る。



「凍てつく気、我が身に集え!!」


ブンッ!


剣が目標を捕らえず空を切る。


ブンッ!ブンッ!


また空を切る。


ブンッ!


何度振っても剣は空を切り続ける。しかし、この状況では当たり前だろう。



「クソッ!何だあの魔法は!!」



「この魔法は初級魔法を応用した魔法……名付けて氷上滑走![アイススライド]」踏んだ足場を凍らせ滑りながら移動する。通った道は魔法を解き元の足場に戻す。スピードが飛躍的に上がり、普通に走っていては追いつけないだろう。



「くらえっ!」


「やばっ!!」大男に気を配りすぎていたせいか、背後にいるもう1人の男が魔法を詠唱しているのに気がつかなかった。



「死ねぇえ!!」



(目の前から剣、後ろからは炎の球が一発………俺が考えるこの状況での最善策は!…)



「これだぁああ!!」


剣を左手で受け止め男の懐に入り、残った右手を大男の腹に当て、そのまま前に進む勢いに乗せて自分と位置を交換するように男を投げ飛ばした。



投げ飛ばされた大男は飛んで来た炎の球に当たり気絶した。まるで花火だ。


「ふう…危なかった〜、あれ?もう1人いたはず……」



広場を見渡すとさっき炎の球を放って来た男の姿がない。


「どこに行っ…あ!いた!!」



俺が広場に来るとき通った道を走って行く男の姿が見えた。氷上滑走を唱えた俺のスピードからは逃げられるわけもなく、だんだん男との距離が縮まっていく。




「あと少し……!」



さっき言ったとおり今走っているのは俺が広場まで来た道だ。つまり、この道を走り続けるとおばあさんを待たせている噴水広場に出る。そして今まさに男は噴水広場に出ようとしていた。



「あら、おかえり」おばあさんはベンチから腰を上げると、少し遠くにいる俺に声をかけてきた。この場にいるのはおばあさんと俺、そして間に俺が追っている男がいる。男から見ればおばあさんは格好の人質だろう。



「ヘヘッ…」案の定男はおばあさんに狙いを絞ると、男は魔法を唱え炎の球をおばあさん目掛けて放った!!。



「間に合えー!!」


氷上滑走状態で全力疾走したおかげで男を抜かし、おばあさんの前までこれたが、体制を立て直せず炎の球を背中にくらってしまう。



「ッッ!!…」


防御なしで魔法をくらったので、背中の焼ける痛みが尋常ではない。



「バカか?ババアなんか庇うなんてよ」


「うっせぇ…」「そうかよ、じゃあ……死ね!!」



男が炎の球を放つ。さっきよりも二周り程大きい。



(いつもこうだ……肝心な所で失敗して…結局おばあさんも助けられなくて、夢も…叶えられないまま……俺は…死ぬのか……。)



[こんな所で諦めてしまうのですか?]


なんだ…頭に声が…


[耳を澄ましてみてください…聞こえるはずです…希望の……声が…]




「頭を下げて!!」



ふと我に返り後ろからの声に従い頭を下げる。



「風よ…敵を穿つ矢となれ。疾風の矢!![ウィンドアロー]」


瞬間、ナキの頭上を通り過ぎた矢は、炎の球を撃ち抜き男に直撃した。男はその場に倒れ伏した。



「何とか間に合ったわね」先ほどの声の主が俺の前に歩いてくる。歩いてきたのは同い年ぐらいの少女だった。



ブラウンの髪の毛をセミロングヘアーにしており、そして少女の目はまるで緑玉(エメラルド)のように綺麗だった。



「うーん……」


「………」



付けている緑の髪飾りが気になるのか、さっきから付けたり外したりしている。目の前にいる俺を全くの無視だ。



これは…お礼言った方がいいよな?


「あの〜…」


「…………」



まだやってるよ…と思ったその時!!少女の後ろで男が立ち上がりナイフで襲いかかろうとしていた。


「どけっ!!」少女を手で横にどかし、男に向かって拳を構える。


「本日2度目の…心響拳!!」



男は拳をくらい完全に気絶した。



「いってぇえ……」


さっき男に拳を入れたときに、左肩をナイフで刺されていたようだ。血が少し出ているが……たぶんそのうち止まるだろう。



「ねぇ、あんた大丈…え!?」


ドサッ!!


ケガをしてフラフラしていると、ついに立っていられずその場に仰向けで倒れてしまった。



「……ん?」


ナキは自分の後頭部に何か柔らかい物が当たっているのに気付いた。


「えーと……これはもしかして…」


(え、こんなに柔らかい物なのか?だけど見た感じそんなになかった気が……)



「ねぇ…どいてくれるかしら?」



「あっ!ごめん!」慌てて少女の上から退く。その途中、体を起こすため手を下に着こうとしたとき。


ふにゅっ


柔らかい何かに触れた。

「………」


「………」




危険察知!危険察知!!直ちに対処せよ!。


「えっと!…あの!これは!その……」



(なんて言えばいいんだ!謝るべきか?謝るべきだ!よし、謝ろう!。)



「えー……本当にすみま…」



「いいわよ、謝らなくて…」


「えっ?」



思わず拍子抜けしてしまう。



(良かった〜一時はどうなる…)



「許さないから」


「……すいません、もう一回お願いします」



「生きて帰さないから」



「生命の……危機」



「具現せよ…リリス!!」「ちょ、ちょっと待て!不可抗力だー!!!」





こうして俺は空を飛んだ。いや……飛ばされた。



その後ナキは噴水に落下しそのまま気を失った。

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