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わたくしが主人公ですわ!! 〜悪役令嬢に転生したけど本人の勘違いが止まらない!?〜  作者: ユルム


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6/10

主人公、愛称呼びを提案しますわ!

 数日後__


 再びレティシア・ヴァルローズは王城を訪れていた。顔合わせの日から婚約は正式なものとなり、今日は互いの仲を深めるための小さなお茶会である。


 王城の中庭のテラスには、小さなテーブルが置かれていた。


 そこで座ってレティシアを待っているのはアルベルト・リリウム。


(ふふ、またイベントですわね。)


 レティシアは心の中で頷いた。乙女ゲームではよくある、と。


 最初の出会いイベントの後に来る、親密度アップイベント。主人公はここで攻略対象との仲を深めるのだ。


(つまり、好感度をもう一段階上げることが主人公の役目ですわ!)


 レティシアは優雅に席へ向かった。


「お待たせいたしました、アルベルト殿下。」


 こちらに顔を向けたアルベルトの表情が柔らぐ。


「いや、僕も今来たところだ。」


(おや。)


 前より声が柔らかい。


 これは確実に、


(好感度、継続上昇中ですわね。)


 レティシアは満足げに微笑み、椅子に座った。


 紅茶が運ばれる。


 少しの沈黙。だがレティシアは焦らない。


(ここで主人公は、自然な会話をするもの。)


 何を話そうか少し考えてから、ふと思い出す。


(あ、そういえば。)


 乙女ゲームにはよくあるシチュエーション。互いの呼び方を変更し、仲が深まるストーリー。今は正式に婚約者になったのだからお互いの呼び方など何でも問題ないはずだ。名前で呼び合うようになれば、自然と距離は縮まる。


 つまり、


(今がそのタイミングですわ。)


 レティシアは紅茶を一口飲み、口を開いた。


「アルベルト殿下。」


「なんだ?」


「1つ提案がありますの。」


 アルベルトは首を傾げた。


「提案?」


「ええ。」


 レティシアはにこりと笑う。


「婚約者同士、いつまでも『殿下』では少し他人行儀ではありませんこと?」


 一瞬、アルベルトが固まる。


「……そうか?」


「そうですわ。」


 レティシアは自信満々に頷いた。ゲーム知識的にこれは重要だ。呼び方が変わる=関係進展。


(好感度イベントの定番ですもの。)


 レティシアは続ける。


「ですので__」


 少しだけ身を乗り出す。


「愛称で呼び合うのはいかがかしら?」


 アルベルトは完全に動きを止めた。


「……あ、愛称?」


「ええ。」


 レティシアは当然のように言う。


「例えば……殿下のことをアル、と呼ぶとか。」


 その瞬間、アルベルトの顔が一気に赤くなった。


「なっ……!」


(おや。)


 レティシアは首を傾げる。


(反応が大きいですわね。)


 しかし乙女ゲームではよくある。クール系ヒーローは、こういうイベントに弱い。


 レティシアは微笑んだ。


「嫌でした?」


「い、嫌ではない……」


 アルベルトは視線を逸らす。


「ただ、その……」


 耳まで真っ赤である。


「急すぎないか……?」


(なるほど。)


 レティシアは理解した。



(つまり、照れているのですわね。)


 主人公として、ここはフォローしておかなくては。


「では、ゆっくり慣れていきましょう。」


 レティシアは優しく言う。


「アルベルト殿下がよろしければ、わたくしのことも愛称で呼んでくださって構いませんわ。」


「……レティシア嬢のことも?」


「ええ。」


 レティシアは少し考えた。


「レティ、とか。」


 アルベルトはまた固まる。


(反応が面白いですわ。)


 レティシアは内心で楽しんでいた。




 一方、アルベルトの心臓は大変なことになっていた。


(レティ……!?)


 そんな近い呼び方をしていいのか。婚約者とはいえ、まだ2回しか会っていない。ちらりとレティシアを見る。


 銀髪が風で揺れている。

 赤い瞳が期待するようにこちらを見ている。


(……断れる気がしない。)


 アルベルトは小さく息を吐いた。


「……わかった。」


 レティシアの目が少し輝く。


「では__」


 アルベルトは少し勇気を出す。


「……レティ。」


 呼んだ瞬間。レティシアが嬉しそうに笑った。


「はい、アル。」


 アルベルトはまた固まる。


(破壊力がすごい……)




 そんな中、レティシアは満足げに頷いていた。


(ふふ。)



 乙女ゲームの王道イベントは外さない。


 呼び方変更。

 距離の縮まり。

 確実な好感度アップ。


(主人公として完璧な進行ですわね。)


 レティシアは自信満々に紅茶を飲んだ。

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