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わたくしが主人公ですわ!! 〜悪役令嬢に転生したけど本人の勘違いが止まらない!?〜  作者: ユルム


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4/10

王太子、婚約者と顔合わせをする

王城の応接間は、いつもより静かだった。


アルベルト・リリウムは椅子に座りながら、正面の扉を見つめている。


今日は重要な日だった。

ヴァルローズ公爵家の令嬢との顔合わせ。


つまり_


(私の婚約者になる令嬢。)


まだ子供とはいえ、それが何を意味するかくらい理解している。


父王は言った。


『ヴァルローズ家は王国でも最も有力な公爵家だ』

『あちらの令嬢は優秀で、気位が高いと聞く』


そして側近たちはもっと遠慮がなかった。


『銀髪赤眼の令嬢ですよ』

『かなり気の強い方らしい』

『近寄りがたい美貌だとか』


総合すると。


(……怖い人かもしれない。)


アルベルトは少しだけ緊張していた。


そこへ扉が開き、ヴァルローズ公爵家が入室した。


 父王たちが挨拶を交わす中、アルベルトの視線は自然と一人に向く。


銀髪。

赤い瞳。

人形のように整った顔立ち。


(……噂通りだ。)


綺麗すぎて、少し近寄りがたい。

表情も落ち着いていて、子供とは思えないほど堂々としている。


(やっぱり怖いかもしれない。)


そう思っていると、父王が言った。


「では二人で少し話してみるといい」


大人たちが別の部屋へと移る。


残ったのは静かな空間。

アルベルトの心臓が少し速くなる。


そのとき、レティシアが立ち上がった。

ドレスの裾を持ち、優雅に礼をする。


「初めまして。レティシア・ヴァルローズと申します。」


完璧なカーテシーだった。

王城の教育係が見ても文句を言えないレベル。


(すごい……)


アルベルトは思わず見入ってしまった。


そして顔を上げたレティシアと目が合う。

その瞬間、思っていた印象が、少し崩れた。


赤い瞳。

けれどそこにあるのは威圧ではなく。

どこか楽しそうな光。


(……あれ?)


アルベルトは少し驚いた。

怖いというより、余裕がある。


むしろ__


(楽しそう?)


慌てて自分も姿勢を正す。


「アルベルト・リリウムだ。」


短く名乗る。

するとレティシアは柔らかく微笑んだ。


「お会いできて光栄ですわ、王太子殿下。」


その笑顔を見た瞬間。

アルベルトの胸が、少しだけ跳ねた。


(……え。)


自分でも理由が分からない。

さっきまで感じていた緊張が、別のものに変わる。


少しだけ視線を逸らしてしまう。


(なんだこれ。)


落ち着け。

王太子だろう。


そう思っていると、ふと口から言葉が出た。


「……令嬢は、思っていたのと違うな。」


言ったあとで気づく。


(失礼だったか?)


だがレティシアは怒らなかった。

むしろ首を少し傾げる。


「それは、良い意味でしょうか?」


微笑んでいる。

その仕草が、妙に可愛い。


アルベルトは一瞬言葉に詰まった。


「……ああ。」


正直に頷く。


「もっと……怖い人かと思っていたよ。」


そう言うと、レティシアは少し目を丸くした。


「まあ。」


そしてすぐに楽しそうに笑う。


「それは残念ですわね。」


「?」


「怖い方がよろしかった?」


一瞬、理解が追いつかない。


だが、そんなわけない。


「違う!」


思わず声が大きくなって慌てて口を閉じる。

顔が少し熱い。


レティシアはくすっと笑っている。


(……からかわれている?)


でも、不思議と嫌ではない。


アルベルトは小さく言った。


「……今の方がいい。」


本当の気持ちだった。


怖い令嬢ではなく楽しそうに笑う少女。

その方がずっといい。


レティシアは満足そうに微笑んだ。


「では殿下。」


「?」


「これからよろしくお願いいたします。」


アルベルトは少しだけ彼女を見つめた。


銀髪が光に透けている。

赤い瞳がまっすぐこちらを見ている。


そして思う。


(この人が……婚約者。)


さっきまでただの政略だと思っていた。


でも今は。


少しだけ。


(……悪くないかもしれない。)


アルベルトはゆっくり頷いた。


「……ああ。」


視線を外そうとして、失敗する。


レティシアから目を離すのが、なぜか惜しかった


アルベルト・リリウム

・レティシアと同い年

・リリウム王国の王太子

・兄弟はなし

・レティシアに惹かれ始める



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