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わたくしが主人公ですわ!! 〜悪役令嬢に転生したけど本人の勘違いが止まらない!?〜  作者: ユルム


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2/9

主人公、攻略対象を振り返りますわ!

部屋の扉が勢いよく開く。


「レティシア!!」


 最初に飛び込んできたのは父――ヴァルローズ公爵。普段は冷静沈着、王国でも屈指の切れ者と名高い人物である。


 その後ろから、蒼白な顔の母。そして心配そうな兄。


「頭を強く打ったと聞いたぞ! 医師は!?」

「お加減はどう? 痛みはある?」

「どうしてベットから出ているんだ!まだ寝ていなさい!」


 ___ああ、なんて愛される主人公ポジション。


 レティシアはゆっくりと微笑んだ。


「ご心配には及びませんわ。」


 実際は前世の記憶が雪崩れ込んできたのだが、そんなことを言う必要はない。


(主人公は、余裕を失わないものよ。)


 公爵はほっと息を吐きながらも、じっと娘を見つめた。


「本当に大丈夫なのだな?」


「ええ、お父様。」


 むしろ、とレティシアは思う。


(わたくし、今とても重要なフラグを抱えておりますの。)


 王太子との婚約。

 学園入学。

 攻略対象との出会い。


 これから物語は始まるのだから。




 家族が退室し、静かになった部屋でレティシアは改めて記憶を整理する。


「ええと……攻略対象は……」


 まず、王太子。

 金髪碧眼。誰にでも優しいキラキラ王子様キャラ


 次に、騎士団長の息子。

 赤髪でチャラ男キャラ。だけど、努力家。


 それから、学園の首席。

 柔和な笑顔だが、魔力量は歴代最高クラス。




「……主人公と攻略対象はどのように関わっていたかしら?」


 思い出せない。


 だが重要なのはそこではない。


(わたくしは王太子の婚約者。)


 最初から最強ポジション。

 好感度はおそらく高いはず。


 つまり___


「イージーモードですわね?」


 レティシアは自信満々に頷いた。


 悪役令嬢が婚約者という設定だった気がしないでもないが。


 しかし考えてみればおかしい。


 王太子の婚約者が悪役?

 そんな物語、バランスが悪いではないか。


「主人公が最初から恵まれていて何が悪いのかしら。」


 うん、問題ない。


 完全に主人公である。


 ふと、鏡に映る自分を見つめる。


 銀髪、赤い瞳。

 威圧感すらある美貌。


 ……少し強そうだが。


「きっとクール系主人公ですわね。」


 レティシアは満足げに微笑んだ。


 そして机の上の王城からの手紙を手に取る。


 1週間後_王太子との正式な顔合わせ。


(最初のイベントですわ。)


 主人公らしく行動しなければ。


 丁寧に。

 上品に。

 けれど自然体で。


「よろしい、攻略開始ですわ。」




まだ気づいていない。


 この物語における本来の主人公は、平民出身の少女であることを。


 そしてレティシアに待ち受けるのが__


 “断罪イベント”という名の超高難易度ルートであることを。


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