物語を退場させられたヒロインは何を思うか
リクエストがあったので書きました。シリーズ第三弾です。退場させられたヒロインのお話。短いです。
私は思い出してしまった!私が『野花は可憐に咲く』のヒロインだと言う事を!
私、マリナ・フロレス。いずれ国母になる選ばれし星属性の女の子!ヒロインだもの、可愛いわ!でもその可愛さは放置していてはいけない、磨かなくては!!
あと八年よ。八年経てば物語が始まるの。私がヒロインの、私の為の物語が!
……そう信じていた時期が私にもありました。
マリナ・フロレス、十六歳。何故か私が主役になる筈だったサルティナ王国の隣国、スターリス王国に居ます。
マルローネは?カルティスは?そもそもフィルは!?
そう、このフィル呼びが不味かったらしい。大人になった今なら少しは分かる。不敬だし、何より大人達からすれば私が言っていた事は頭がおかしい子、だったのだ。
王太子妃、か。この国の王太子様を見ていると分かる。王族と言うのは重圧が伴うものなのだろうと。そしてその婚約者である人もまた、責任を伴うものなのだ。軽々しく言葉を言う事も出来ない、そんな息苦しい立場に何故なりたいと思っていたのか。ヒロインだったからか。今の私はヒロインじゃないのか。それはもうよく分からない。分かるのは……。
「ねぇマリナ、今日も魔法の研究に付き合ってくれる?」
イケメン眼鏡、最高!!だって事!
「勿論よガルナ、今日は何をすれば良いの?」
「ハハッ、随分と簡単に引き受けてしまって。俺が無理難題を押し付けたらどうするつもりなの?」
「あら、そうしたら無理難題が終わるまで貴方を独り占め出来ると言う事だもの。構わないわ」
「……君は、そう言う素直な所が素敵だよね」
はい、はにかみ笑顔いただきました!ごちそうさまです!!
「私なんて野花みたいなものよ。結局大輪の花には敵わなかったと思うわ」
そう。きっと私がこの国に居るのはそう言う事なのだ。
噂によると、隣国のフィルロット王太子殿下とマルローネ公爵令嬢は大変仲睦まじいそうだ。
前世でもよくあった。原作が変わる事なんてよくある事。フィルロット王太子殿下は原作でも腹黒い所があるキャラクターだった。
つまり、私はきっとあの人の逆鱗に触れたのだと思う。
そうでなければまだ六歳だった私を隣国に留学させようなんて両親が言い出す筈が無いのだ。
我が家は貴族じゃない。そんなお金、ある筈が無い。ある人が、この国にパイプのある人が私を物語から追い出したのだ。
結果的にそれは良かったと思う。この国は星属性の人は隣国とは違って稀に産まれる。それはこの国特有の現象らしいけれど、そのおかげで私は今、同じ属性のガルナとこうして研究をして居られる。
「…よく分かんないけどさ。俺は薔薇とか豪奢な花より、君みたいな可憐な野花の方が、可愛いと思うよ」
珍しい。ガルナが研究が絡んで無くて私にこんな事言ってくれるの、凄く珍しい。
私は思わず泣きそうになってしまった。
「私、ちゃんと花咲けてるかなぁ」
物語から追い出されたヒロインだけど、ちゃんとしぶとく、野花みたいに花咲けてる?
貴方の隣に相応しい私で居られてる?
「言ったろ。君は可愛いよ、マリナ。だから泣くなよ。俺、君が笑ってるとホッとする。ずっと笑ってたら良いのになって思う。…これ、恋ってやつだろ?」
照れくさそうに笑って言ったガルナが私の手を引いて歩き出す。
「今日の研究は『流れ星』だ。流れ星に願い事をすると叶う。それは本当か。それを確かめたい」
私は吹き出してしまった。そんな迷信をどうやって彼は確かめようと言うのか。
でもガルナがやりたいと言う事を反対する気は私には無い。だから私はその手を握り返して聞いた。
「良いわよ。とびきりの流れ星を見せてあげる!ガルナは何を願うつもりなの?」
ガルナは見惚れるような笑顔で言った。
「可憐な野花が俺のお嫁さんになってくれますように!」
あぁ、ほら、やっぱり。
野花は可憐に花咲いたじゃない!
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