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第四章 孤児院との出会い
ある雨の日、カルメンは町へ出かけた。
材料を買いに。
その帰り道、路地裏で小さな叫び声を聞く。
「パン返して!」
そこには、泥だらけの少年が兵士に足を踏みつけられていた。
盗んだというパンは彼の手から奪われ、兵士は笑いながら去っていく。
カルメンは思わずその少年に駆け寄った。
「大丈夫!?」
少年は怯えた目で彼女を見上げた。
「……貴族……? お前も……オレ達を馬鹿にしに来たのか……!?」
「違う。私は……貴族かもしれないけど、君達を見下したりしないわ」
彼女は持っていたパンを少年に渡す。
そして、少年が住んでいるという『聖ミカエラ孤児院』へ案内してもらう事にした。
そこは壁は崩れ、食料は乏しく、子供達は病に苦しんでいた。
院長のシスター、ルイーゼは疲弊した顔で言う。
「王宮は支援を止めました。ここは『不要な施設』だと」
「そんな……此処に居る子供達はどうなるのですか……!?」
カルメンはその場で決意した。
「私が支援します。科学の力を使って」