089 後始末
本日、後書きにて一つ【大切なお知らせ】がございます。
数秒で済みますので、そちらもぜひ確認していただけると幸いです!
ドゥラークによる得意げな勝利宣言の直後、俺――レスト・アルビオンの前で魔道具から鳴り響いたのは、ドゥラークの予想とは正反対の内容だった。
『申し訳ありません! 第一王女による簡易魔封陣の無効化と、想定外の魔物出現によって作戦は失敗し――』
『貴様、何をしている!?』
『――ぐわぁっ!』
作戦失敗を告げる男の声。
途中で動きを封じられたようで、強引に押さえ込まれるような衝撃音の後、音声はピタリと停止した。
「……………馬鹿な」
ドゥラークは信じられないとばかりに目を見開きながら、それ以上の言葉を失う。
対する俺は、左手で片目を隠しながら、想定通りの結果に小さく頷いた。
「ガレルはうまくやってくれたみたいだな」
実は、先ほどドゥラークが得意げに語り始めたタイミングから俺は【感覚共有】を発動し、ガレルの視界を借りていた。
そのため、王城内で襲撃が発生したことも、ガレルが見事にセレスティアを守った後、風魔法を駆使してその場から立ち去る一連の流れも把握済みなのだ。
ゲームと違い犠牲者が出ることなく事態が解決した事実に、俺は胸を撫で下ろす。
そして同時に、ある考えが脳裏をよぎり、思わず真剣な表情を浮かべた。
(……けど、まさか本当にこの保険が必要になるとはな)
そもそも、その違和感を抱いたのは初めてゲームをプレイした時のことだった。
大量の魔族が王城に襲撃し、それに伴って数多くの騎士や参列者が犠牲となり、セレスティアも昏睡に追い込まれたこの大事件。
それ以上の概要が特に語られたわけではなかったが、これを聞いた時、俺は疑問に思った。
本当にそれだけで、あのセレスティアがやられるのか――と。
彼女は飛びぬけた才能を誇る神聖魔法の使い手で、それこそ魔族相手に後れを取るような実力ではない。
そんな彼女が、不意打ちかつ大群による襲撃だったとはいえ、昏睡状態に陥るほど追い込まれるとは思えなかったのだ。
あの日、学長の口から語られなかった不確定要素が何かあるのではないか
そう考えたからこそ、俺はガレルに【縮小化】と【擬態化】を発動したうえで王城に待機させておくことに決めた。
万が一の場合、敵の意識外から計画を打ち砕くピースになることを期待して。
そして、その狙いはうまくいった。
内通者の存在や簡易魔封陣の発動など、幾つものイレギュラーを見事に打ち砕くことができたのだ。
残された敵戦力は、今、俺たちの目の前で尻もちをつくドゥラークだけ。
俺は鉄槌剣を構えながら、ジッと彼を見下ろす。
「これで今度こそ、お前の計画は完全に潰えた」
「くっ……!」
ドゥラークが苦痛と反抗心の入り混じった表情を浮かべる。
しかし、それもほんの一瞬のこと。
傷だらけの体を満足に動かすことができず、仮に万全の状態だったとしても俺たちに敵わないことが理解できたのか、絶望の表情へと移る。
そして、
「申し訳ございません……魔王様、アト――」
最後に後悔と懺悔の言葉を言い残すドゥラークに、俺は無言のまま【纏装・風断】を振り下ろすのだった。
『レベルが規定数値に達しました』
『テイム可能数の上限が更新されます』
『4/4→4/5(現時点で、あと1体まで使役可能です)』
「これは……」
浮かび上がる見慣れたメッセージウィンドウ。
恐らく、破壊の亡将の討伐や今回の戦闘で大量の経験値を獲得できたからだろう。
次にテイムする魔物について考えたいところだが……正直、今の俺にそこまで考える余裕はなかった。
「………………」
「あら。作戦は全てうまくいったというのに、随分と浮かない顔ね?」
不思議そうにそう尋ねてくるリーベに視線を向けた俺は、数秒の間を置いて、誤魔化すように小さく首肯する。
「……ああ、この後の事後処理が面倒だと思ってな」
言いながら、俺は周囲を見渡す。
俺たちが倒した魔族や魔物の死体が、辺り一帯に転がっていた。
暗躍する形で秘密裏にドゥラークたちを討伐したのはいいが……このまま放置というわけにもいかない。
よって、少し考えた末に答えを出す。
「さっきの報告からして、内通者に仲間がいることは騎士団も把握しているだろう。いつ次の襲撃があるか分からずに警戒もしてるだろうし、匿名で情報を送って任せるのが一番だな。任せた、リーベ」
「相変わらず魔族使いが荒いわね!? まあいいけれど……」
意外と素直に受け入れてくれたリーベに苦笑しつつ、俺は小さく息を吐く。
これなら俺が正体を明かす必要もないし、騎士団の懸念も解消できるため一挙両得だろう。
続いて、俺は自分の格好に視線を落とす。
「……あとは、この服装のまま戻るのは止めておいた方がよさそうだな」
今、俺が着ているのはパーティー用の正装。
洗浄の魔法を使えば血や土などの汚れは落とせるだろうが、勘のいい相手なら戦闘の匂いを嗅ぎ取られるかもしれない。
とりあえず今、対処しておける懸念点はこの程度だろう。
「それじゃ、戻るか」
普段の服装に着替え、アヴァルスを異空間住居に送った後、俺とリーベは【波長合わせ】――遷移魔力を利用した、魔力を周囲に溶け込ませ気配を消す技を使い(俺がさっき王城を抜け出す時にも使用した)、王城に戻るのだった。
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【大切なお知らせ】
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