057 アイテムと新しい武器
サクサク進めていきます。
剣友修行を終えてからの二十日間、俺はひたすらに幾つものダンジョンを攻略していた。
この機会に入手しておきたいアイテムや武器があったからだ。
一つ目に攻略したのは、Bランクダンジョン【瘴気の蛇巣窟】。
猛毒を含め、挑戦者に様々な状態異常をもたらすモンスターが多く生息するダンジョンだ。
しかし俺には【竜の加護】があるため大した障害にはならず、あっさりと進んでいくことができた。
ちなみにリーベも【遷移魔力】の応用で最低限の状態異常耐性があるらしく、無事についてきていた。
相変わらず便利な能力だ。
最深部に待ち構えていたのは、ダンジョンボスである禍毒蛇。
全長は10メートル程とかなり大きく、鱗は深い紫色で不吉な光沢を放っている。
頭部には小さな角が生えており、目は赤く輝いていた。
多少の苦戦もしつつ、俺は無事にドゥーム・スネイクを討伐する。
しかし残念ながら、一回の挑戦では目的のアイテムはドロップしなかった。
「まあ、元々ここのドロップ確率はかなり渋いからな。その分、効果もかなりいいんだけど……切り替えて続けていくしかない」
気を引き締め直し、攻略を続けること11日目。
ようやく目的のアイテム【禍毒蛇の雫】を入手することができた。
「よし、これでようやく一つ目だ」
翌日からは、別のBランクダンジョン【石像群の地下遺跡】の攻略を始めた。
ダンジョンボスは石眼蜘蛛。
体長は5メートルにも及ぶ、巨大な蜘蛛のモンスターだ。
八つ存在する目で一定時間見つめることで、相手を石化させるという厄介な能力を持つ。
だが、こちらも例にもれず【竜の加護】を持つ俺には通用しない。
(ドゥームスネイクといい、かなり楽をしているような……)
そんなことを思いつつも、問題なく倒すことができた。
そして攻略から8日目。
目的のドロップアイテム【石眼の宝珠】を入手する。
「思ったより時間はかかったけど、ひとまず手に入れられただけよかったか。それじゃ、次の目標はと――」
翌日。
俺が最後に挑戦したのは、Aランクダンジョン【錆びた古代遺跡】だった。
頑強な素材によって生み出された機械型のモンスターが多く生息し、切断用の武器ではなかなかダメージを与えられない。
しかし、魔填を使用した木剣であれば効率的に破壊することができ、苦戦しつつも最深部までたどり着くことができた。
「とはいえ、この木剣もそろそろ変え時だな」
これまではテイム対象に間違ってトドメを与えずに済むことや、魔力伝導率のいい木剣は魔填を使用する上で効率がいいなどの事情があり、エルナから譲り受けたものを使い続けていた。
しかし先のデストラクション・ゴーレム戦で、俺は少しだけ考えを改めた。
木剣の他にもう一本くらいは、何か武器を用意しておこうと思ったのだ。
そうしてたどり着いたのがここ、【錆びた古代遺跡】。
ダンジョンボスはアイアン・ガーディアン。
全身が厚い鋼鉄の鎧で覆われており、強靭な機械肉体と耐久力が特徴的だ。
とはいえ、デストラクション・ゴーレムのように特殊なギミックを有しているわけではない。
ステータスはこちらの方が高かったものの、苦労なく倒し切ることができた。
そしてアイアン・ガーディアンは消滅後、その場に一振りの剣を残した。
「おっ、ここは一発でドロップと来たか」
禍毒蛇の雫や石眼の宝珠と比べてドロップ率が高いとはいえ、一発で終わったのは運がいい。
俺は刃が太く、先端が鈍いその長剣を拾い上げた。
これもゲームに登場した剣士用の武器だ。
名前は【鉄鎚剣】。
見た目と名前から察せられるかもしれないが、剣でありながら切断判定ではなく打撃判定が発生する武器となっている。
その代わり頑丈さと破壊力、そして耐久力にも優れ、長期間の使用に耐えうる便利な剣だった。
「打撃判定の剣なら、これまでの木剣とそこまで使用感も変わらないだろうし、破壊力自体もAランクダンジョンでドロップするだけあって十分にある。しばらくはこれでやっていけそうだな」
俺が満足げに頷いた、その直後。
『レベルが規定数値に達しました』
『テイム可能数の上限が更新されます』
『3/3→3/4(現時点で、あと1体まで使役可能です)』
浮かび上がる、見慣れたメッセージウィンドウ。
新しい躍進の機会が、もうすぐそこにまで迫っているのだった。
この辺りを攻略する様子を丁寧に書いてもつまらないかなと思ったので、ダイジェスト風にまとめてみました。ちなみに本文内にはほとんど出てきませんでしたが、ガレルやリーベもちゃんと同行しています。
次回から物語のスピードがどんどんペースアップしていくので、ぜひ楽しみにお待ちください!
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