怪物病
ここは魔界。"怪物病"になったとあるクラスの担任と悪魔が話をしている。
「治してください!」
「良いですよ」
悪魔がそう言った途端、二人は教室に転移した。
生徒たちはチャイムと同時に教室に現れた二人の姿を見て驚いた。
「あなたたちの担任は"怪物病"になりました。それはどんな病気か分かりますか?」
「"怪物病"はひどくなると人を襲うんですよね?」
「そうです。現在は軽症ですが、今後重症化する恐れがあります。それを防ぐために"デスゲーム"を行う必要があります」
悪魔はルールを話した。
「ルールは簡単。今から五秒数えます。五秒数えたら追いかけるので、皆さんは私から逃げてください。捕まったら一時的に心臓を預かりますが、五分逃げきれたら心臓を返却します」
「嘘でしょ…」
ルールを聞き、生徒たちは絶句した。
生徒が戸惑う中、悪魔はゲームを始めることにした。
「早速ゲームを始めます。逃げないと心臓を預かるので、生きるために、死ぬ気で逃げてください」
「逃げろ!」
このクラスの生徒が悪魔の号令で逃げ出した。
時間が経ち、担任は生徒たちを捜索し始めた。
「さて、捕まえた」
「うわぁー」
教室から出ようとして転げ、逃げ遅れた生徒が捕まった。
次々襲われる生徒たち。五分経過した頃、辺りが静かになった。
「今回も私たちの勝利だ!」
悪魔は笑顔でそう言った。
「いや、勝者は生徒たちですよ。あそこを見てください」
担任はそう言いながら掃除用具入れを指差した。それを合図に掃除用具入れから男子生徒が現れた。
「クソッ」
悪魔は悔しそうだ。
「何で君は掃除用具入れにいたんだ?」
「授業をサボろうとして隠れていたら、大変なことになってしまい、出れなくなったんだ」
担任の質問に、掃除用具入れに入っていた男子生徒はそう答えた。
「なるほど、それであんな所にいたのか」
「では、悪魔さん。約束通り、生徒たちの心臓を返してください」
こうしてデスゲームは終わり、平和な日常が戻った。