1話
初投稿のようなものですが、よろしくお願いします…!
割り当てられた自室の中で、瞑想をする。あぐらを組んで、少しだけ目を開いて、周りのプラーナと一体化することを意識する。お気に入りの民族模様の入ったオレンジのマットの上で、ストレス緩和のために僅かに外の宇宙が見える小窓の外にまで意識を広げる。
広げて…そこで思い出してしまった。
ここから遠い宙域にある、生まれ育った星のことを。
私の故郷である惑星〝プレイリア″は、一言で言ってしまえば脳筋の惑星だ。
そもそも、宇宙に進出した歴史が脳筋過ぎる。常に身内同士で争い、基本武装が剣と盾の惑星を支配しようとした異星人が意気揚々と侵略したところ、そいつらを全員返り討ちにした挙句、宇宙船やらなんやらを鹵獲してちゃったことがプレイリアの宇宙進出の始まりだ。
剣と盾なんて原始的な武器でビームライフルや宇宙船の砲撃に耐えられた理由…それは、プレイリアの戦士がプラーナっていうエネルギー体で闘う超人集団だったからだ。プラーナは、あまねく生命に流れる超常の力と言われていて、プレイリアは特にこのプラーナが豊富らしい。
プラーナは自分にまとうことで防御と強化を同時にできるし、怪我をしてもプラーナで治せるし、斬撃も飛ばせたり次元も切り裂ける…らしい。
そして内乱でみんな戦力を一番増強してた時期に来た異星人は、哀れにも脳筋戦士たちに追いはぎに会ってやられてしまったというわけだ。
伝承では、宇宙空間をプラーナをまとって飛び回る超人戦士も居たとか居ないとか…。
そんな脳筋戦士たちに宇宙船を渡してしまったらどうなるか。
そう、宇宙戦争だ。
当時まだプラーナへの認識が辺境惑星のよく分からない手品程度だった銀河連邦は、異星人側の一方的な訴えを聞いてプレイリアに鎮圧軍を向かわせた。
脳筋共はそれを宣戦布告と捉えて、とにかく暴れた。
それはもう銀河中が大混乱になって銀河連邦が分裂寸前になるまで銀河中を暴れまわった。
最終的には、プレイリアの戦士と連邦の大統領が手を組んで分裂しようとした勢力をボコボコにして何とか銀河の内乱は収まった。
歴史を思い出すだけで恥ずかしくなるぐらいの脳筋だ。
銀河連邦に正式に加わってからは、プレイリアの戦士は治安警察のような存在になった。銀河連邦の平和を維持する高潔な騎士(?)として現代では連邦だけにとどまらず、未探索宙域にまで駆り出されている。
そんな脳筋の惑星の脳筋集団から私は生まれたわけだが…私はプラーナを扱える量が極端に少なかった。
プラーナは、個人によって扱える量が異なる。そしてもちろん、脳筋の惑星にとって扱える量が多ければ多いほど強いとされ、扱える量が少ない私は常に憐れみや罵倒を受けてきた。
どの流派からも門前払いされて、戦士になることを諦めて連邦内の他の惑星で静かに暮らそうか迷っていた時もあった。
そこから引き揚げてくれたのが、私の師匠だ。
師匠は、風雷流剣術の道場の師範で割とおじいちゃんだけどとても強い。強さだけで言えば、現代のプレイリア十傑に入っていてもおかしくないくらいには強い剣士だ。
ただ、風雷流剣術はプレイリアの中では邪道とされている。それはプラーナを最小限しか使わないことを主眼においた剣術だからだ。脳筋の惑星では異端な剣術なわけで、あまり良い扱いだ受けてないから師匠の弟子もほんの数人しかいなかった。
私は自分のことはバカにされても、師匠と風雷流剣術がバカにされることは我慢できなかった。どうにか見返してやりたくて、毎日必死に修行をして、プラーナの扱い方を勉強して、師匠に実戦式の稽古をつけてもらった。
そして、やっと試験で他の流派の受験者を倒して剣士になって配属されたのが…。
『…い、アエリエ、聞こ…か。剣士見習いアエリエ・メリーナ!返事をしたらどうだ!?』
「!?す、すみません艦長!瞑想していました!」
『言い訳をするな!もうミーティングの集合時間はとっくに過ぎているぞ!』
「え!?あ、ほんとだ!今すぐ向かいます!!」
部屋の通信機からの怒鳴り声で我に返った。
そう、これが私の配属先。
未探索宙域調査船『コメルニ』だ。
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