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2話 購入資金を確認しましょう。 前編

俺達タクミ隊は(自分で俺達タクミ隊と言うのもなんだが・・)廃屋の片付け後、スプリングウッド町のギルド支部に報告に行った次いでにギルドの共同浴場で一っ風呂浴び、平服に着替えてから、馴染みのギルド系の酒場『水瓶亭(みずがめてい)』に寄る流れになった。


「ハイ、お疲れ~っ」


俺達は木のジョッキで乾杯し、チェルシ以外はエールビールを美味しく飲んだ。チェルシはルートビアだ。


「で、あの家の購入資料、ギルドでもらってきたんだけど」


ビールもそこそこにテーブルに資料を拡げだすレン。おおっ?


「ほほう。さすがにあの廃屋では上物代は30万ゼムか。安いのぉ」


感心するコッチ先輩だったが、あの普通に考えたら解体するしかないボロ屋を引き取らせるのに金を取る気なのか??


「ミティとマティも待ってるもんね!」


「ケムっ!」


頭の上にケムシーノの幼虫『ピティちゃん』を乗せているチェルシ。連れてきちゃった。


「え? 皆、マジで買うの?? 皆で部屋借りた方が安くない?」


まず『そんな仲良くもない』という根本的な問題もあるけどね!


「宿や賃貸はもういいやっ、落ち着かない! ウチ、教会の屋根裏部屋に部屋借りてんだけど、タイミング悪いと時報の鐘とか聖歌隊の歌とかオルガンの音がキツいんだよっ。鐘とか、屋根裏部屋のほぼ隣だぜ? もう『攻撃』なんだよっ!」


思い出しただけでゲッソリ顔になるレン。ハーフエルフだから聴覚が鋭いだろうしね。というかなんで耳いいのに鐘の隣の部屋借りたし。


「ワシ、普段はギルドのロビーのソファで寝泊まりしとるんじゃ、あそこ共同浴場もあるからの」


何っ?!


「コッチ先輩? それ、ホームレ」


「『アドレスホッパー』じゃよ?」


いい感じの呼び方使いやがってるぞっ?!


「でも、そろそろ家に住みたいのう・・」


切実じゃん。アドレスをホッパーするの疲れ切ってるじゃんっ!


「というかー、お金足りるのかなぁ?」


「ケム?」


ピティを頭に乗せたまま資料を覗くが、いまいち読み込めない様子のチェルシ。

ええいっ、しょうがないな!


「ちょっと、読ませてくれ」


俺は資料を取った。レンとコッチ先輩も引っ越しや『定住』に気を取られ過ぎて正常な判断が怪しい! 俺が確認しなくてはっ。


「上物30万ゼム。土地750万ゼム。ん? ・・固定資産税免除?! ただし、林道を含む周囲の雑木林の維持管理を請け負うこと??? う~んっっ」


安いことは安いが(一般職住人の平均月収が35万ゼム程度)、癖強い物件だなぁ。まずリフォームにえらい金掛かるだろうし・・。


「固定資産税免除は美味しいの」


「税と言ったらさ、『インボス制』導入なんだよね?」


「言ってたのぉ」


話変わった?


「冒険者の4人に1人が廃業するかもなんだよね?! チェルシっ、廃業したくないよぉっ!」


「ケムぅっ」


「・・・」


俺はふと思い出した。


「チェルシ、住宅地の実家から仕事通ってるよね? 逆に廃業難しくない? 自分の匙加減でしょ?」


「でへっ」


バレたか、という顔のチェルシ。まぁ、仕事のある土地なら実家通い最強だからな。賃貸住みと『子供部屋社会人』だと、浮き沈みの無い一般職なら生涯で使える資金が1,5倍は違う! 平民と貴族くらいの経済格差があるんだよっ。


「とにかく! ガチで家買うの考えてるなら、ここじゃなんだからメシ食い終わったら2階の俺の部屋で話そう」


「タクミの部屋、ここだっけ?」


「冒険者っぽい住まいじゃの」


「っぽい、というか冒険者だからね」


「実家?」


「ケムん()?」


「違うよ? なんで? というかその子ちょっと喋れるよね?」


等と話しつつ、俺達はとっとと打ち上げを切り上げ、宿になってる水瓶亭の2階へ向かった。資産の話になるからさ!

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