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1話 蔓植物は放置すると大変なことになるんだぞ?

俺はタクミ。人間族の冒険者だ。職業は侍、レベルは16。ソロで下位飛竜(ワイバーン)をギリ倒せるくらい。

自分の隊も率いている。隊名はタクミ隊。そのまんま。

構成は同期1人(女子、ハーフエルフ)、先輩1人(男子、ドワーフ族)、後輩1人(女子、ボックル族)の構成。

ドワーフの先輩がリーダーじゃないのはちょっと大雑把な人だから。

同期のハーフエルフは半年前まで別の女子だけの隊のリーダーをやってたけど、色恋沙汰でトラブって隊が解散したばかりだから。

ボックルの後輩はわりと自由に動くタイプ。

そんなワケで冒険者ギルドに俺がリーダーで登録することになった。

そして・・特に伝説になりそうな展開は無かったけど、俺達タクミ隊は・・・


「レンさぁ! そこの蔦、根を取らないと、直ぐまた生えるからねっ」


「後でやるよっ、何っ?」


ハーフエルフのレンは大体ナーバス。


「そろそろ休憩にしないかのぉ? こういう単純作業をしてると眠くてのぉ」


「コッチ先輩、さっき休憩したばっかじゃないッスかっ」


ドワーフのコッチ先輩は社会人としてそこそこ難がある。


「タクミぃっ、ほら、回転蟲(ケムシーノ)の幼虫見付けた!」


「チェルシ、それは後で街の外の野原に帰してきてあげてっ!」


ボックルのチェルシはほぼキッズ。

こんな具合のチームワークで! 拠点にしている街『スプリングウッド』の外れにある不法投棄ゴミだらけになった廃屋の片付けの仕事をしていた。

これでもギルドから正式な依頼の1つだ。片付けの前に住み着いてた。災霊(ゴースト)退治とかもしたから。

そのアフターケアをやってる段。片付け業者じゃないよ!


「・・・・(無の心でゴミを素早く分別し続ける、俺)」


「・・・・(無の心で引き方が荒いから蔦ごと傷んだ壁を剥がすレンと、いつの間にかいい感じ積み上がった粗大ゴミの上で昼寝を始めたコッチ先輩を横目で見つつ、ゴミの分別を続ける、俺)」


「・・・・(無の心でいつの間にか3匹目を掘り返したケムシーノの幼虫達と蝶蝶を追い掛けて遊びだしたチェルシを確認しながら、ゴミの分別を続ける、俺)」


いやっ! 皆、いい所もあるんだよっ。レンはギルドの教練所の売店で「あ、桃味かと思ったら梅味だった。あげるよ」って間違えて買ったポーション1本くれたことあるし! コッチ先輩は教練所のバイト教官で代返見逃してくれたし! チェルシは今朝飴くれたし!

・・あれ? なんか、ゴミが目に入ったかな? ちょっと泣けてきた。くぅっ、


「というか、タクミ。ウチら、そろそろ家買わない?『ここ』とか」


「ん? 家? ここ?」


レンが不意に言ってきたので、今日午前中、俺達が退治するまでゴーストの住みかでもあった廃屋を改めて振り返った。


「・・・・」


今にも崩れそうだ。どっちかと言ったら『呪わしい』感じすらするっ。


「おお、それ、ワシも思っとった。ここ買いたいのぉ」


粗大ゴミの上からムクりと身体を起こすコッチ先輩。


「チェルシもここいいと思うっ! この子達可愛いしっ」


ケムシーノの幼虫3匹を抱えるチェルシ。飼う、気か?


「・・・いやいやいやいやっ! おかしいだろっ? なんで急に家? ここも無いでしょ?!」


「絶対安いよ?」


「雑木の手入れしたら日当たりもありそうじゃ」


「名前付けたよ? ミティ! マティ! ピティ!」


「ケムーン!」


「ケムケム!」


「ケムっちょっ」


いやケムシーノ達に鳴かれてもっ。


「買わないってぇっ! 嫌だよ俺っ、というか、隊組んでまだ1ヶ月経ってないよね?! そんな仲良くないよねっ?!!」


仲良くないって認めちゃったよっ。

だが、これはその場限りのノリで済まずっ。俺達は(主に俺がっ!)ここから約半年間、この廃屋の買い取りの是非と、リフォームやら庭造りやらで苦闘・・ってリフォームする所まで言っちゃったよっ!!

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