東京の片隅での出会い②
死ぬ前に金を使い切ろう…そう思っていても六本木や歌舞伎町で散財すれば
1日で使い切ってしまうかもしれない。どうすれば現世を楽しめるか・・・
安いベットで寝そべりながら構想を練る。
東京に来て1年。仕事関係でしか移動はしていない。ネット検索をかけると
おぼろげながら遊び方が書いてある。
ふむふむ、六本木・新宿はど真ん中。錦糸町や渋谷は次点。笹塚、小岩なんかは
片隅って感じか。ただ小岩の感じ、下町感に俺自身を必要としてくれる需給関係。
安くて大事にされるなんていいじゃないか…ふふふ、自分の寝床から比較的近い
この街周辺を散策するか。仕事に絶望した先日から少し気力がわいてきたきがするぞ。
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お帰りなさい、兄さん。小岩の駅で客引きの兄さんからそう呼ばれるのに時間は
かからなかった。
過労で倒れ、うつ病診断。復帰したものの、以前のように頭も動かずろくに働けない。
時短で働き早退してドンクのミニクロワッサンを頬張りながら関西の家族からの心配した
電話に泣きながら受け答えしていたのに…その精神状態から随分とましになった気がするノブ。
帰る際、将来への不安がよぎり、生きた心地がしなかった通勤電車も乗る電車を変え、
ふらりと降り立つと気持ちが少し和らぐ。
さて、今日はどこに寄ろうかな。とりあえず適当に話してキャバ嬢と連絡を交換するんだな。
キャッチの兄さんとの向き合い方、値段交渉に関してはなんとなくつかめてきた。キャバ嬢との
やりとり…うんまったくわからん。
店に入るまではキャッチの兄さん達が誘導してくれるから何とかなるが、そこから先の楽しみ方
は自分次第。ワンナイトカーニバル!?までもっていくにはどうしたらいいか。
そんな情報サイトは山ほどあったが大体情報商材なんだよなー。うさん臭さもあるし、
そもそも自分にやり方があうかもよくわからん。
日々小岩に通うようになってから家では妄想にふける日々、不毛な時間。
とりあえず動きながら考えるか。キャッチの兄さんの声を駅の改札口で察知。
合流し下世話さが漂う場末の繁華街に足を向ける。カモがネギをしょっているとわかった
兄さん達の反応がまあ面白いのなんの。
1軒目を楽しんで店を出ようものなら5人近くのキャッチの兄さんに囲まれる。
初見でこの光景を見られたらおじさんがカツアゲされている現場に見えるかもと苦笑する。
はいはい、俺の店にきてくださーい兄さん。わかったよ、いくら値下げしてくれんの?
金の力とは言え、つい最近まで社会に不要な人材として叩かれていた人間がヨイショされれば
気分は簡単にアガル。財布のヒモもビロビロに伸びる。
うーむ、それにしてもやたらめったらキャバ嬢と携帯を交換するが、会うたびに
出身地や勤務先を話す程度。
そもそも童貞に15分間で心を開くコミュ力なんてないし、どう切り込んでいいかわからん。
よし、サイトでキャバクラ侍さんの情報を見て勉強しよう。最近知ったブログに目を通しながら
嬢との会話の仕方を学ぶ…がレベルたけーな。自分にはハードルが高い。
などなど四苦八苦しているなかで一人の女性と出会うことになる。
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