梅田のキャバクラにて⓸ 延長交渉
そろそろお時間ですー。エースの店長が席に来る。もうそんな時間か。「もう帰ります。」
「ノブさん、そんなこと言わないでくださいよー。店見渡してくださいよ。ガラガラでしょ。
助けると思ってほら、アイちゃんも寂しそうにしてますよー。」もはやこのやりとりは
恒例になっている。そしてこのシチュエーションで帰れる日が日に日に少なくなって
いることをノブは実感していた。
最初はワンセットだけやデーといい、するする帰れていたのだが、延長交渉が面白く
なってきて、時間や値段をごねて綱引きをして、時間を少しサービスしてもらい
延長してしまうという寸劇で形が出来上がっている。「いやいや、今日こそ帰るよー
ボトルも少なくなってきたし。もう喋ることもないしー」ここでアイが「喋ること
沢山あるし、ボトルも大丈夫よ。大体新人のボーイさんの延長交渉ならこのやりとり
せず速攻帰るやん。やから店長が来て必死にお願いしてるんよ。ノブさんが帰ったら
私暇で寂しいんやけどー」おいおい、さっきまでそんなしおらしい声出してなかった
やないか。それを接客中にしなさいな。ほんまに。「でー、延長する気はないけど
一応いくらか聞いとこか?」もはや負け戦の前振りのように店長に話を振る。
「ほんとはワンセットいて欲しいですが、30分だけ、しかも5分延長しましょ。
それで3,000円。お願いしますよー」「もう5分何とかなるなら何とかするわ。」
「内緒ですよノブさん。マジでめちゃめちゃ割引いてるんすから他には言わん
といてくださいね。延長入りまーす♪」やられたwwwまたやってしまった。
ちょろい男だなーと頭を掻きながら水割りの残りに口をつけ、「アイちゃん、
薄い水割りお代わり。」といい、また時間が過ぎるのであった。
「してやったり顔してるやんアイちゃん。本当に話したいことなんかあるのー?」
大してないとわかっているもののアイに話を向ける。「あるよ山ほど。」
「じゃあ話してもらおやないか。」体をツンツンしながらまんざらでもないノブで
あった。「じゃあ痛い客の話や印象に残った客の話を聞きたいな。」
「わかったー。じゃあねー・・・」昼間のキャバクラでディープな話が始まる。
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