物語の始まり
寝起き
あれ、ここはどこだっけ。そうか、またベットで寝込んでいたか・・・ノブはまた深いため息をついた。抗うつ剤が切れたからかまだ頭がくらくらする。
会社に行こうと思っても行けなくなり1か月。なかなか体調も良くならない。これで10度目の休職かー。良く会社もクビにしないなー。そう思いながらも重い腰を上げふらふらとコンビニへ向かいドリップ式アイスコーヒーを買う。
家でコーヒーを沸かす方が経済的だということはわかっているが、どうもこの眠気眼で歩くこととルーティンでコンビニコーヒーを買いに行く行為が眠気覚ましの儀式のような気がするため、本人は結構気に入っている。
ノブ37歳。素人童貞。彼女がいたことは3日しかない。初彼女ができて家に来たからこれはオッケーサインかと思いきやあてがはずれ、彼女の初体験を聞かされた後、別れ話を切り出されて以来彼女はいない。
顔は金正日に似ていると言われ、体形も3XLのデブ。どうしようもない窓際サラリーマンである。
もとはLサイズだった体形も、社会人になりワンサイズ、うつ病の闘病生活の投薬治療や副作用で痩せにくくなり、大きくなったが、世間はそんな事情は知ったこっちゃない。
なるべくしてなったダルダルのカラダ。実家からはキモイと言われ続けてきたが、最近ではそれを通り越して病気が心配と言われ日々のジム通いを毎日勧められているが、不要な運動はしたくないなー。とさぼり、だらだら散歩にふけっている。それでも毎日1万歩以上歩いているのは褒めてほしいもんだ。
休職10回もしていると役職もなく、金もない。ただ大手勤務であったことだけが幸いしてまだ解雇されていない。職場原因のうつ病と診断されたこと、精神障がい者手帳を受給したこともでかかったかもしれない。
ただこの状態になって仕事バリバリやるぞーというドMを見たことがない。まだあったことがないだけかもしれないが・・・俺は知っている。病院薬局で下を向いて抗うつ剤を受け取る元大手勤務の無職や生活保護受給者が沢山いることを。無理せずに仕事をこなし、最低限の給料で仕事以外の楽しみを見つけることが無難な選択だということを。
といっても仕事以外かー。仕事は嫌いだが、これといった趣味もないしなー。漫画とyoutubeとAV漁りしかやってねーよ。
最近行っているのはキャバクラ。風俗がいいと思っている時期もあったが、最近一試合したら建たなかったため、傷心気味となり、趣向を変えることにしたのだ。
今日はどんな話をするか。あと、興味本位で聞いているキャバ嬢達のゴシップを楽しみに梅田にいく支度をして家を出る。