最終話.吸血鬼さん、復讐を終え眷属とえちえちしながら帰還する。
俺は”神の一員”になることを選ばなかった。あくまで”人間”であり続けることを選んだのだ。
かくして神との対話を終えた俺は、ムーンディアの拠点に戻った。そして、アトルの村へ帰ることを考え始める。
全てが終わったのだ。あとはゆっくりと余生を過ごしたいのだ。
しかし……そうした想いとは裏腹に、すぐにアトルの村へと帰ることは出来そうに無かった。
ミミのお腹がすっかりと膨らみ、ティティも身籠っている体型が目立ち始めた頃に、なんとドラティアとマオとシャルの妊娠も発覚したのだ。
覚悟はしていたことだが、まさか一斉に同時期に残りの三人も俺の子を宿すことになるとは……少々予想外の展開ではある。
取り合えず、全員が出産して子どもがある程度大きくなるまでは、出発は出来そうは無い。
多少の無理は全員が出来るのだろうが、お腹の子に万が一のことがあってはいけないのだ。
こうした状況に陥ったこともあり、結局のところ、俺がアトルの村に帰ることが出来たのは数年後となってしまった。
※
数年後。
俺は眷属とその間に出来た子どもを馬車に乗せ、のんびりとアトルの村へと出発を開始した。
「どこいくのー?」
「新しいおうちですよ」
「おねむ……」
「はいはい、それでは膝枕してあげましょう」
「おかあさーん」
「む、なんじゃ?」
「てい! てい!」
「その調子だ。将来は優秀な軍人になれるな」
後ろで各々が楽しそうに我が子と会話をしたり、遊んでいたりだ。ドラティアの姿は見えないが、それは王女であるからに他ならない。
子が産まれたことは喜ばしいことだが、教育は王宮で行うということになったのだ。ドラティアもそれに付き添わねばならないらしく、残念ながらアトルの村へと連れて行くことは無理だった。
ただ、その代わりに週一で俺が顔を見せることにはなっている。
行き来に特別な苦を感じることは無い。神の一員にならなかったことで、俺のステータス表記が復活しているが、以前と同じで200を超えている化け物のままだからだ。
まぁそれはさておき。
ステータスに頼った移動をすればアトルの村までは一瞬だが、引っ越しに伴う今回の移動については、馬車でのほのぼのとゆっくり進んでいる。
移り変わる景色をゆっくりと子どもたちに見せるのも、教育の一環になると思ったからである。
※
夜が訪れる。馬車での旅の最中でも、子が出来たとしても、当然ながら眷属たちにはご奉仕を継続して貰っている。今日はティティだ。
「旦那さま……」
子どもたちや他の眷属がすぅすぅと寝息を立てる馬車の外へと出て、草むらの影で……という感じだ。
もとからティティは外で致すことを好んでいたこともあり、お互いに満足が行く形で色々と堪能することが出来た。
「……ご寵愛ありがとうございます」
「よしよし」
頭を撫でてやると、ティティは嬉しそうに目を細めた。一番に素直であり利口であると同時に、愛らしい仕草が得意なのがティティの良いところだ。
※
次の日の夜。今日のご奉仕はミミの番だ。【支援の勇者】で色々と絶好調になった俺は、貪るようにしてご奉仕を受けることにした。
ミミが外では恥ずかしいと言うので、皆が寝静まった横での行為となったが……【支援の勇者】で何回戦も出来る状態となっている状況とは、少し相性が悪かったかも知れない。
子どもたちはしっかり寝ていたが、ティティやマオ、それにシャルがレベルも高い為にか物音に気づいて起きて来るのだ。
要するに、まさかの見られながらのご奉仕だ。全てが終わった後にミミは真っ赤になって俯いていた。
「は、恥ずかしかったです……」
「そうはいっても、外が嫌なら必然的にこうなってしまうからね……」
「せめて【支援の勇者】は使わない方が……」
それを使わない、というのはありえない。何せ当初の目標通りに五人の子をミミとは作る気をしているのだから。
なので、俺は頑なに”今後も絶対に使う”と断言した。
「ご主人さまはいぢわるです」
「ミミが魅力的なのが悪い」
「……そう言われると、ミミは何も言えなくなっちゃいます」
他の眷属たちが羨ましそうに俺とミミの会話に耳を傾けていたが、きちんと各々のご奉仕の時に可愛がるから許して欲しい。
※
さて、更に次の日の夜についてはマオからのご奉仕だ。
マオとは色々な道具を使うご奉仕を楽しんで来たわけではあるが、今回はそうは行かない。
馬車は狭いので、万が一にも子どもが道具を目撃してしまう可能性があり、明らかに教育に悪いので出発前に全て処分したからだ。
「刺激がどうにも足りない感じじゃが……」
「それは仕方ない」
「じゃな。……まぁたまには普通のご奉仕も良いかも知れぬな」
そうした話の流れになったこともあり、お外で普通に楽しむご奉仕となった。
マオとこうした感じになるのは、だいぶ久しぶりであったこともあって、何の変哲も無いハズなのだがある意味で新鮮さはあったかも知れない。
※
さてさて、それからマオの翌日の夜はシャルだ。
俺の体が幾つあっても足りなく思う時もあるが、それでもこれは俺自身が眷属にしたことの責任であり義務である。
それゆえに、俺が手を抜くことは決して無い。
「お前さま……」
「シャル……」
シャルのご奉仕はミミと同じく馬車の中だ。外は恥ずかしいというミミと似た理由であった。
だが、恥ずかしいというわりにはかなり大胆でもある。
物音が立つといけないからと、なんといえば良いのかその……詳しくは言えないが、個人的に恐らく一番えちえちなのでは無いかと思うご奉仕であった。
そして、元から俺に惚れていたということもあって、やはりシャルのご奉仕はどうにも熱烈な夫婦や恋人のそれを思い起こさせるような感じでもある。
眷属になる前後や以前からの気持ちの経緯などを考えると、記憶を奪ってしまったことに不思議な背徳感を感じる時もあるが、そういった面も含めて楽しめるのがシャルでもあるのだが。
※
何はともあれ。
子どもたちの様子を見ながらも、夜には眷属たちからのご奉仕を受けていると、そのうちにアトルの村へと到着した。
ようやく平穏な余生を過ごせる。俺はそう思っていたのだが……なんとも意外な展開に巻き込まれることになる。
俺のことを兄のように思っていたがゆえに、出発することに寂しさを感じていた思われるコゼットが、どうにも俺のことを兄ではなく異性として慕っていたことが判明したのだ。
そして、そんな俺が複数の眷属たちと一緒に戻り、子どもまで出来ていたことを知って卒倒して倒れる事態になった。
だがまぁ、それはまた別の話である。何はともあれ、俺の復讐の旅はこうして終わりを告げたのであった。
今回で最終話となりました。復讐を全てきっちりと終えつつ、えちえちで〆ることが出来ました。
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