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47.吸血鬼さん、戦闘形態。

 俺は怪訝にアレクとその付き人を見る。


 神の末席になる――その言葉の真意を測りかねていたのだ。だが、それが一体どういうことなのかはすぐに分かることになった。


 まだ、聖都の人々がアレクの演説に困惑している時にそれは起きる。


 アレクの付き人の魔術師と神官が何やらぶつぶつと唱え始めると、街全体が一斉に光を放ち……そして人々が次々に倒れだして苦しみ出した。


 その光景をアレクは笑って見下ろしていた。


「お前らの命を持ってして俺は神の末席に連なる! より上位の存在になるには大量の命が必要だ! つまり生贄ってヤツだ! はははは!」


 神の一員になる為に、街の全ての人々を生贄としてより上位の存在に至る――アレクは本気でそう言っていた。


 みるみるうちに人々が干からびていき、そしてアレクの体に光が集まって行く。


 目の前の光景はある意味で似ていた。サザンやミミの記憶から吸った時に垣間見た”疑似転生”に。


 しかし、あくまで似ているだけで雰囲気などが違う。似て非なるもの、と言えば良いのだろうか。”疑似転生”は生贄の肉体を必要としたが、アレクが行おうとしているのは”純粋な生命力”だけを抜き取っているような感じだ。


 術が大規模なこともあってか、これはよほどのレベルで無いと耐えられない。少なくとも100前後は無いと抵抗すら出来なさそうだ。


 人類でそのレベルに到達出来る者はごく僅かであり、つまりそれが意味していることはこの場の民衆の”皆殺し”だ。


 術式を展開した魔術師や神官すらも呑み込まれている。「まさか我々まで……」と困惑しながら、その体が徐々に干からびて行き、最後にはパタリと倒れた。


「――ははは、力がみなぎって来る! 俺は神になった! 俺は最強だ!」


 アレクが高らかに笑うと、その背には真っ黒な翼が生えた。アレクは赤黒い光を放電させるように放つと、空を自由自在に飛び回り始める。


 俺は慌てて自分自身が掛けていた”経験値を吸う”を確認した。すると、アレクがその効果から外れていることが分かった。


 まったく持って苛立たしいことに、やつは経験値減少の効果から逃れたらしい。そして、見た限りでは大幅なレベルアップも果たしたようだ。


 アレクは俺のように”経験値”を吸ったのではなく”生命力”そのものを己がものにした。それが隠し経験値のような役割を果たしたようだ。


 しかし……それにしても許せない。自らが高みに至る為とかいう理由で、こんなにも多くの人々を巻き込み糧とするなど正気の沙汰ではない。


 一体どこが”神になった”なのだろうか。その姿はどこからどう見ても悪魔にしか見えないぞ。


「……あん? なんで生きているヤツがいるんだ? まぁいい。神の一員になったこの力を試したくて仕方が無かったんだよな」


 アレクは俺に気づくとニヤニヤと笑った。今までの大多数の勇者同様に俺のことは覚えていないらしいが……まぁそれは構わん。


 そんなことよりも、こいつへの復讐をどうするかをたった今決めた。


 アレクは自らが高みに至った事や、強くなった事に陶酔しているようだから、それを叩き折るのが良さそうだ。いかに矮小で弱い存在なのかを、徹底的に教え込み自尊心を粉々にした上で始末する。


 これは俺自身の復讐の他にも、平和に生きているだけの人々を贄にしたその大罪に対しての鉄槌でもある。


 俺は迷わずに”戦闘形態”を取る。干からびた人々がまだ呼吸をしているのが見えたので、”瘴気”は抑えて出さなかった。


「なんだお前……いきなり悪鬼のような姿になったな。なるほど、俺が神になることに気づいて現れた異教の神々か何かか! 良いだろう滅してやる!」

「滅されるのはお前だアレク……」

魔王以来の戦闘形態です。やはり最後の復讐は圧倒的な強さを見せつける形が良いかなと思いました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 生き残りが無事に治ったら、アレクが魔王って呼ばれるわな(汗)
[一言] アレクは途中でセバスだとわかり、 「くだらん復讐劇はここで終わりだ!  地獄へ落ちろ!セバス!!」 聖都のど真ん中で、セバスは牙をむき叫んだ。 『神に祈れ!アレク!!』 果たしてその結末…
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