44.吸血鬼さん、三人の眷属とデートする。
毎日更新のつもりだったのですが、歯が痛くてうなされており出来ませんでした。歯医者行ってきました。落ち着きました。すみません……。
何はともあれ、フォルドゥークへの復讐は終わりアレクの情報も掴むことが出来た。
俺は一息を吐いて宿に戻ると、誰にも気づかれないようにベッドに入り、翌朝になって何事も無かったかのように目を覚ました。
眷属たちにそれとなく目的が終わったことを告げ、約束通りに個別に観光を行うことにすると伝えると、全員が喜び始める。
「……それでは、まずは私と」
「次は妾じゃ」
「最後は自分だ」
俺も俺でこの個別デートは楽しんだ方がいいだろうな。あまり張り詰めすぎても良い結果に繋がらないからだ。
思いつめれば判断力が鈍り、細かい点を見過ごす可能性がある。その一点を突かれないとも限らない。
残りが一人となり、復讐にも終わりが見えて来ているからこそ、隙なくしっかりと遂行する為にも心にはゆとりが必要だ。
自分自身のコントロールは完璧にして置かないといけない。
※
さて、まず最初の一人目はティティである。
本人が落ち着いたところが良いと言ったこともあり、街の中心にある噴水広場を軸にゆっくりとしたデートコースを選び楽しんだ。
特別なことは何も無く、ただ一緒に手を繋いで歩く。それだけの何の変哲もない散策だけでも、ティティは随分と良かったらしく終始にこにこと笑顔であった。
「……何もサプライズは無いけれど、それでも楽しんで貰えたようで何よりだよ」
「サプライズがあった方が嬉しいことは嬉しいですが、しかし、そんなことよりも私はご奉仕の時も含めて、こうして二人きりの時間が僅かにでもあるだけで満足です。……最初は私一人だけの旦那さまでしたが、眷属の数が増えるにつれてそうではなくなって、理解はしておりますがそれが少し寂しいです」
ご奉仕の時にはスリルを楽しむ癖があるティティも、意外と少女らしい内面も抱えているようだ。
とりあえず、抱きしめて頭を撫でてあげることにした。
「だ、旦那さま……」
恥ずかしそうにしながらも、ティティは嬉しそうに目を細めている。
良い感じだ。
眷属のメンタル管理も俺の大事な義務なのだから、手を抜くことは無い。
二人目はマオだが、こちらについては買い物が中心になった。
ご奉仕の時に使えそうな道具を見つけては、「これはどうじゃ」と俺に訊いてくるので、良さそうなものがあれば買うといった感じに進めて行く。
「こっちの道具なんかも面白そうじゃな」
「それをどうやって使うのか」
「こうやってこんな感じ……駄目かのう?」
俺では考えもつかないような発想をもとに購入を打診してくる事もあるので、意外と飽きないデートであった。
三角木馬が欲しいと言われた時はさすがに困惑したし、持って帰ることは出来ないので拒否したが、まぁそれぐらいだろうか。
そして最後がシャルだが……シャルについては、なんとも言えない初々しい感じになってしまった。
ご奉仕の時とは違った形で甘えたがっている――そんな雰囲気を本人が出しているのだが、どうしたら良いのか分からない、といった感じで終始もじもじしていた。
本人でさえ理解しきっていない”こうして欲しい”を察して、俺がその通りに動いていく形だ。
「……す、すまない。自分でもどうしたらいいのか」
「気にする必要はない」
「……自分でも分かっていない願望とか希望を、きちんとお前さまは理解してくれている。凄く嬉しい。大好きだ。愛してる」
眷属たちは俺に対して真っすぐな好意をぶつけることが多いが、その中でもシャルは別格だ。
俺に惚れていた状態を不思議と引きずっていたせいもあるのだろうが、聞いている側が恥ずかしくなるくらいに真っすぐなのだ。
以前にも思ったが、出会う状況さえ違えば、復讐の対象になるようなことをして来なければ、あるいは今とは違った形で恋人同士になれていたのかも知れない。
そう思わせて来るような感じだな。
まぁ何はともあれ。
このような感じで個別デートは進んで行った。
それから最後にもう一泊だけして帰ることにしたところ、夜のご奉仕の話にもなり、これも三人別々となった。
こちらもティティ、マオ、シャルの順番であり、一人あたり二時間程度の配分とした。
ミミがいないので、【支援の勇者】の恩恵を受けられずに大変ではあったが、まぁこういう日があってもいい。
各眷属たちの主人公の呼び方は、ティティ→旦那さま ミミ→ご主人さま マオ→ぬし様 ドラティア→あなた様 シャル→お前さま、ですね。




