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43.吸血鬼さん、最後の情報を掴む。

 俺がそう告げると、フォルドゥークは俺が誰なのかに気づいた。そして、これが復讐であることも意外なことに気づいた。


「セバスっ……そうよその顔随分と可愛がってあげたあのセバス……まさか恨んで……でもセバスはただの【運び屋】スキル持ちでしょう? こんなこと出来る強さなんて無いハズよ。ど、どういうことなの……?」


「答えてやる義理は無い。それより、思い出してくれて助かるよ。思い出して貰わないと、俺も復讐している気にはなれない」


 気づけて貰えたところで、俺はまずフォルドークを喋れなくする為に喉を潰した。応援を呼ばれても困る。


「あっ……ぐっ」


 以前のレベルであったのならば、フォルドゥークも反応くらいは出来たかも知れない。【格闘の勇者】だけあって、動体視力などが補正で飛び抜けていただろうからだ。


 だが、”経験値を吸う”の効果によって1にまで下がり切った今ではその力は無い。何が起きたかも分からずにいるのが見て取れる。


 ここから先の行為については、俺は執拗に残虐に時間をかけて行ったとだけ言っておこう。フォルドゥークについては、特に恨みを持っていることもあり、俺は容赦も慈悲も一切無く断罪を行った。





 戻って来た親衛隊が咽び泣いていた。吊るされたフォルドゥークの死体を抱いて、ただただ泣いていた。


 彼らにとっては何よりも大切な主であったのが窺えるが、しかし、結果的にはこれで良かったのだと思う。


 親衛隊の面々は、フォルドゥークになど縛られる必要など本来無いのだ。


 俺が復讐を理由に女勇者を眷属にしたのとは違い、フォルドゥークは己の快楽の為に巧みに人心掌握をしたに過ぎない。それはつまり、彼らが単なる被害者であったことを示している。


 今は自分が被害者であったことに気づくよりも先に、失った悲しみの方が来てしまうとは思うが、人間は必ず前を向いて歩けると俺はそう信じている。


 だから、彼らもフォルドゥークの呪縛から逃れ、一人の人間として普通に生きていける日が来るハズだ。


 夜空に響いた男たちの慟哭を背に受けながら、俺はゆっくりと瞬きを一度してひっそりと姿を消した。





 宿に戻った俺は、フォルドゥークから吸い出した記憶の整理を始めた。そして、思わず笑みをこぼしてしまった。


 もっとも欲しかった情報が手に入り、高揚を覚えたのだ。ドラティアに頼んだ調査では一度途絶えていた勇者アレクの所在である。


 どうやらフォルドゥークは少し前にアレクと会い、その行き先を聞いていたようなのだ。



『アレクちゃーん。あらどうしたのぉ?』

『お前の趣味は知っていたが、喋り方は普通だったよな? いつから口調まで気持ち悪くなったんだ?」


『ずぅっと閉じ込めていた自分を解放しただけよ。それより、一体どうしたのよ』

『……レベル減少について俺なりに色々と調べていたんだが、解決出来るかも知れない情報を掴んだ。大聖堂に行ってみようと思っている』


『大聖堂……?』

『そうだ。そこでどうにか出来るかも知れない。……お前も来るか?』


『うーん。別にいいわ。元に戻らなくてもここに私のお城があって満足してるし』

『そうか。まぁ無理強いはしない』


『他の子誘って見たら?』

『他の連中は良く分からん。サザンとユスハは完全に消息が途絶えたし、ミーアとミオーネは転々とし過ぎていて今どこにいるかも分からん。サルキッスは苦手だから声掛けてない。……ドラティアもあいつ出不精だからな。動かんと思うので行ってない』


『言われてみれば癖が強い面子だったものねぇ』

『そういうわけだ。で、お前のところに来てみたが無駄足だったな』


『そんなことないわ。大聖堂ね。覚えておく』

『気が向いたら来い。……一つ忠告しておく。何か嫌な予感がする。レベル減少を解決出来るかどうかは別にして、俺は大聖堂で庇護を受けられるのなら、痕跡を消して貰うように頼むつもりだ。お前も気をつけろ』


『考え過ぎじゃないのぉ?』

『確かに考えすぎかもな。だが、用心するに越したことはない。何事も無ければ杞憂だったと笑い話にするだけだ』


『アレクちゃんと違って私はそこまでする気にならないわ』



 そんな会話をフォルドゥークはアレクとしていたようで、そして、俺はどうしてアレクの消息が途中で途絶えたのかも察した。


 大聖堂はいわゆる”聖都”と呼ばれている場所であり、色々と秘匿癖があることでも有名な所でもあった。


 アレクは妙に勘が良かったようで、漠然とだが、”誰かに狙われているかも知れない”、という危機感を抱いていたようだ。


 だから、大聖堂の庇護を受けられるように話をつけた後、存在の秘匿の為の協力を仰ぎあらゆる痕跡を消し、結果としてドラティアの情報網に引っかからなくなった。


 しかしながら、どれだけ痕跡を消そうとしても、必ずどこかにヒントは残るものだ。俺が今こうしてフォルドゥークの記憶から正解を引き当てたようにな。


 アレクの敗因はただ一つ。”記憶を吸う”ことが出来る人物が自分を追っている、という可能性に辿り着けなかったことだ。


 最後の復讐の準備は整った……が、その前に観光をしないとな。眷属たちが楽しみにしているからな。


 サザンの”疑似転生”とはまた違った手段でのレベル減少の解決方法を見つけていそうなのが気になるが、仮に治せてもそう簡単にレベルは上がらない。


 熱心に上げても期間を考えればせいぜい30~50前後だろうか。俺の敵では無い。


 これは慢心などでは無く――余裕というものだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] サルキッスはアレクからも嫌われていたのか… [気になる点] 吸血鬼はセバスだけですか? [一言] 一般人がどこまでも残忍になる事はスタンフォード監獄実験等やホロコースト等が参考になりますか…
[一言] セバスの心境とこれからの予想行動はこうかな・・・。 「アレク!きさまの運も尽きたぞ!!」 「奴は大聖堂の隠し部屋にいる!」 「運命の日だ。覚悟しろ!アレク!!」 怒(イカ)れるセバスの怒…
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