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30.吸血鬼さん、他の勇者の消息を探らせる。

 体液を既に摂取させていたこともあり、ドラティアの眷属化は滞りなく終わった。


 必要が無くなった事でミミのスキルの効果も解除して貰うと、ドラティアはとろんとした瞳で俺を見つめて来る。


「あなた様……あぁ私のあなた様……」


 ドラティアは俺の頬に自分の頬を合わせ、すりすりと顔を動かした。まるで自らの匂いをこすりつける動物のような行動だ。


(わたくし)は、私は……あれ、そういえば私は誰なんですの?」


 もはや恒例となっているが、ドラティアもまた他の三人同様に自らの名前を覚えていない。


 いつもならば、このあと新たな名を与えるのだが……ドラティアに関しては例外として、元の名を使って貰うことになる。


 王宮に戻って貰い、王女としての権力を行使して俺の為に動いて貰う必要があるからだ。


「君はドラティアだ。ドラティア・ムーンキッズ」

「ドラティア……」


「そうだよ。そして、君はこの国の王女でもある」

「私が王女……? それは本当のことでして?」

「もちろん」


 俺はひとまず、吸い出した記憶の中で、ドラティアが王女として動いていた時のものを口頭で伝えていく。


 逆流を記憶に使い戻してやることも可能ではあるが、それはしたくない。俺から記憶が抜けてしまうからだ。


 万が一にも手元に残しておきたい記憶が混じってしまった場合、俺が気づければ再び吸い出せば済む話ではあるのだが、【吸血鬼】のスキルの強力さを考慮するに恐らく気づけない。


 最初から無かったことにされる記憶に、どう気づけと言うのか。だからその方法は取りたくないのである。


 少し手間だが一つずつ教えて行き、そして俺の為に動くように指示を出すのが確実だ。





 朝が来るまでまだ時間があるが、全て調整を終えたこともあり、俺はティティにドラティアを元の場所に返してくるように頼んだ。


「それでは行きますよ、ドラティア」

「あぁん、あともう少しだけご一緒したいのですわ……」


「まったくとんだ淫乱ピンク王女ですね。四日に一度旦那さまに情報を渡しに来る時、その時にご寵愛頂くことで決まりましたでしょう」


 四日に一度ドラティアから情報を貰うと言うのは、俺がそう指示を出したのだが、これには理由がある。


 ドラティアを入れて眷属が4人となった今、俺へのご奉仕は4日で一巡のルーチンということになった。


 つまりドラティアの順番が回ってくるのが4日に一度であり、その時に王宮を抜けて俺の所まで来るので、どうせならご奉仕を受けながら情報も一緒に貰おうというわけである。


 正直なことを言うと、勇者の有力な情報が手に入るまでは、ドラティアにはずっと王宮にいて貰った方が良くはある。


 万が一にも一定の周期で城を抜け出している事がバレれば、王宮内の人間にドラティアが怪しまれてしまうからだ。


 しかし、だからといって城に置いたままにしておくと、不平不満がドラティアの胸の内に溜まるのも容易に想像出来る。


 他の子とはいちゃいちゃしているのにどうして自分とはしてくれないのか、と思ってしまうのだ。


 眷属にとって俺の言葉は絶対だから、文句を言って来ても鶴の一声で黙らせることは出来るが、それは無自覚な精神的な負担を与えることにもなる。


 眷属のメンタルケアは支配者の俺の責任だ。俺自身が眷属にすると決めてそうしたのだから、義務や責任は当然に発生する。


 まぁそういう感じであるというのはさておき、ともあれここから先の基本方針は”待ち”になる。


 王女の権力を使った情報収集で勇者を発見し、捕縛し、そして復讐という流れだ。


 ちなみに、ドラティアから吸った記憶について整理をすると、ドラティアが持つスキル【懲罰の勇者】が使えそうというのが判明している。


 他の勇者を捕縛した際に拷問に使えそうで、これは嬉しい限りである。あとでレベルを上げてやる必要がある。


 有益そうな情報はまぁそれぐらいで……他は特には無かったかな。毎日王宮の中でごろごろ食って寝ている記憶しか出て来なかった。


 そういえば、少し脇腹がぷにぷにしていたな……。ドラティアのご奉仕の番になった時に、ダイエットの指示も出しておくか。


 俺はそんなことを考えながら、とりあえずミミを抱き枕にして寝入ることにした。


「ご、ご主人さま……」

「抱き心地が良くてつい」

「ふふ、でしたら仕方ありませんね~」


 ミミも柔らかく肉付きの良い体をしているが、ドラティアと違ってだらしない感じでは無い。あくまで魅力的に肉付きが良いのだ。


 こういう風になって貰いたいものである。

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― 新着の感想 ―
[一言] 姫なのにしまりの無い身体してるのね(笑)
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