21.吸血鬼さん、休息を取る。②
湖に着くと、ティティとミミの二人は服を脱いで湖へと駆けていく。購入した時に既に水着を着けていたようで、服の下にあったのは下着では無いのでそのままでも大丈夫だ。
俺も二人の買い物の陰に隠れて水着をきちんと買っていたが、まだ着けてはいない。なので、慌てて水着に着替える。
「ぉおぉ……」
湖の水は透き通るほどに綺麗であるが、それと同時に入って見ると思っていたよりも冷たかった。
ティティとミミの二人は楽しそうに遊んでいるのだが……と思っていると、どうやらミミの【支援の勇者】のスキルを使っているらしい。
地味にこういう時にも使えるスキルのようだ。俺には必要無いとしていたが、それは少しばかり早計であったかも知れない。
「ご主人さまも大丈夫なようにしてあげますね」
「助かるよ……」
「ミミのスキルはとっても使えるんですよ? 例えば……お望みであれば、ご奉仕の時に五回戦は平気で出来るくらい元気にも出来ちゃいます」
少しばかり早計では無く、俺の認識は根本から間違っていたようだ。【支援の勇者】にそのような使い方があるのは想定外だ。
戦闘では必要性が薄く感じられるとしても、それ以外の場面では有用性が高いことが判明するとは……。
俺は少し前に心の中で『必要無さそうだ』とした前言を撤回することに決め、ウンウンと頷いた。
「――旦那さま、ミミとだけではなく私ともお話して下さいませっ」
ミミに冷たさを感じないようにスキルを掛けて貰っていると、ティティが少し怒り気味に腕を組んで来た。
嫉妬してしまったらしい。
俺に惚れるようにしてしまったのは他ならぬ俺自身なので、こうなっている事に文句などありはしない。
男の夢ともいえる状況であるので、むしろ凄く幸せな気分ですらある。
ティティは美少女でミミは美女であるから、幸福感が強まることはあっても弱まることは無いのだ。
人によっては下品と言うかも知れないが、鼻の下はどうしても伸びる。
それに、”人生を掛けた復讐を履行させているのだ”という充実感も味わっているのであって、これをどうにかする方がとんでもない。
「ティティ、そんなに怒らないでください。ご主人さまが冷たくないようにスキル使ってただけですよ~」
「……今日のご奉仕は私なのですから、その辺りを考えて下さい」
「ご奉仕は夜では……」
「夜のご奉仕を盛り上げる為にもその前から気分を高めるものです」
ティティはぷぅと頬を膨らませた。
体の良さではミミに軍配が上がるが、こうした細かく積み重ねる仕草の可愛さで言えばティティの方が上だ。
なんと言えば良いのか、”仕方ないな”と思えてしまうと言うか。
二人とも全て記憶を吸ってからの眷属化という同じ経緯を辿ったわけだが、生来の気性のような部分の問題なのか、性格の差が意外と大きい。
まぁ、記憶は吸えても人格まで吸い出せるわけでは無いから、当然と言えば当然ではあるのだが。
「仕方ないな。それじゃあ一緒に遊ぼうか、ティティ」
「はい!」
「今日は仕方ないですね。ミミの番は明日なので、いちゃいちゃご奉仕は明日まで我慢とします」
かくして――のんびりとした時間を過ごしていると、心も体も癒されて行くのが分かった。今後の復讐の為の英気を養うことが出来ているのを感じる。
胸の奥に燻る復讐心はコントロールすべきものであり、その為にこうして休息が必要だと思った俺の判断はやはり正解であった。
自分自身の事だからこそ予測がつく。休息を取らなければいずれ暴走に至る、と。
重ねて言うのだが、無関係な人達を巻き込んではいけない。そうなってしまえば”復讐者”では無く”理性無き人”だからだ。
俺はあくまで復讐者である。今はそれ以上になる気もそれ以下になる気も無い。
ところで……水遊びをしていて俺はふと気づいた。胸の谷間に水滴が流れ落ちるという、水遊びをしているのであれば当たり前でしかないその光景が異様にエロいことに。
これは直感なのだが、ヌルヌルの液体だともっとエロくなりそうな気がしたので、俺は帰り際にそれっぽいものを買って行くことにした。
※
今晩のご奉仕は既に知っている通りにティティであるのだが、いつもとは一風変わったご奉仕となり、そしてそれが長時間に及んだ。
まず一風変わったご奉仕というのは、詳細は省くが帰り際に買ったヌルヌルの液体を使ったからだ。そして、長時間に渡った理由は、ご奉仕の前にこっそりミミに支援をお願いしてみた結果だった。
ミミは『五回戦は出来るようになる』と言っていたが、それは本当であった。ティティとのご奉仕が実に五回戦にまで及んだのである。
ヌルヌルの液体のエロさも凄かったが、それ以上に本当にミミのスキルの効果がやはり素晴らしい。
俺はご奉仕の前に必ず掛けて貰うようにしようと思った。
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