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11.吸血鬼さん、お外で楽しむ。

 俺とティティが村を出た時、地平線の向こうに朝日が僅かに姿を見せていた。


 頭上では朝焼けに広がりつつある青と夜空の暗闇が重なり合っており、薄っすらとなりながらも星々や月がいまだ自らの存在を主張している。


 村の皆もまだ寝静まっているそんな頃の出発であるが、これはお見送りのようなことをされたくない俺が下した判断だ。


 ティティの存在は村の皆には隠したままであり、お見送り等となればそこで初めてのご対面となるが、まず間違いなく興味を持たれて質問をされる。


 適当なウソや言い訳で取り繕っているうちに時間が過ぎ、次から次に出て来る質問に答えているうちに最悪の場合一日が終わってしまうのが予想出来た。


 だから、そうならないようにこの時間にひっそりと出発をする。


「さて……それではサザンを追おうかな」


 村を出た俺は、まず魔王の領土との緩衝地帯になっている街へ向かうことにした。そこで一旦サザンの消息を探るのだ。


 少しばかり考えて、俺が行くことに決めた街はルヴィグという所である。


 魔王の領土は東側のほぼ全ておおよそ大陸の1/3を占めており、その版図ゆえに緩衝地帯の街も幾つかあるが、その中でも情報が多く拾えそうな一番大きそうな街がルヴィグであったからだ。


 ちなみに、馬車はルードに引き渡したので移動手段は足である。

 だが問題は無い。

 馬車よりも俺の足の方が速いからであり、ティティもレベルが上がったことである程度は俺に付いてこれるようにはなっているからだ。


 まぁとはいえ、ある程度は付いて来れるとしても、ティティは俺とのレベル差がまだ二倍以上もある。


「そろそろ疲れて来たりはしないかな?」


 だから、移動中に度々疲労の確認を取っていたのだが……ティティはあまり疲れていないようだった。


「まだ大丈夫です」


 勇者のスキルの各種補助効果はやはり凄いな。


 全盛期のティティの最高レベルは155であり、記憶を探った際にしっかりとそれ以下の時の各レベル帯での補助についても目にしていたが……。


 ティティの【暗器の勇者】は、暗殺向きのスキルでもあるからか、暗器に関する効果以外にも身体能力への補助があるのだが、それが通常の人が持つスキルの同レベル帯の時の3倍はあった。


 ズルいとしか言いようがない――と言いたいところだが、勇者のスキル以上に恐ろしいスキルを持っている俺が言って良い言葉では無いな。


 俺はなんとも言えない気持ちになりながら、少しだけペースを上げることにした。すると、ティティが徐々に疲労を蓄積させていくのが見てとれた。


 俺はまだ全力の1/3ほどであり、戦闘形態も使って良いのであれば更にその倍の速度を出しても一昼夜苦も無く走れるが……いくら勇者スキルの補助が凄いとはいえ、ティティが俺と肩を並べるにはまだまだ実力不足のようだ。


 ステータス上の数値だけで言うのならば、以前の155レベル程度に戻れば、ティティは俺の平常時の半分程度にはなるかといった所だが……。


 ともあれ、ティティを置き去りにするわけにも行かない。俺は少し速度を緩めると先ほどと同程度のペースに戻した。





 お目当てのルヴィグの街に着くまでにはおよそ四日ほど掛かりそうだ。


 アトルの村は大陸の極西部に位置しており、通常であればルヴィグまでは徒歩で二カ月、馬車であっても一カ月は必要であるので一般人から見れば目や耳を疑う速さだな。


 俺としてはティティのペースに合わせていることもあり、ゆっくり目のペースではあるのだが。


 まぁそのことはどうでも良いとして。

 道中の野営時にもティティにはご奉仕をきちんとして貰うことにし、誰もいない森の中で、解放感に溢れた刺激を俺は楽しんだ。


「旦那さま……も、もしも誰かに見られていたらと思うと……」


 ティティは外でのご奉仕に戸惑いを感じていたようだが、俺が「やってくれないかな?」と言うと羞恥に頬を染めながらもゆっくりと頷いた。


「何を恥ずかしがっているのか分からないけれど、見られても構わないよ。むしろ見せつけてやればいい」

「旦那さまはいぢわるです……」


 いぢわる等と言いながらも、ティティのご奉仕は少しばかり長引いた。どうやら言葉とは裏腹に本人も楽しんでいたようだ。

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